みすず書房

アシジの貧者【新装版】

LE PAUVRE D’ASSISE

判型 四六判
頁数 368頁
定価 3,300円 (本体:3,000円)
ISBN 978-4-622-04916-6
Cコード C0023
発行日 1997年10月9日
備考 現在品切
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アシジの貧者【新装版】

長篇詩『オデュッセイア』や映画『その男ゾルバ』の作者、《現代のホメロス》といわれる著者が、アシジのフランチェスコの一生を描く。

ギリシャ軍事政権に故国を追われた著者は、本書の成立について次のように語った。

「不安をかもし出し、おそろしいと感じられる書物を私は書いている。というのは、人類が破局に向っており、世界は虚無の縁に立たされていることを、繰り返し言わねばならないからだ。……私の書物は決定的な日を引き延そうとして書かれているのだ。聖フランチェスコの生涯を書いたのは、われわれの世界にとって、聖者でもある英雄が必要だからだ。

それに、私にとって聖フランチェスコはとりわけ親愛な存在だ。彼は二度も私の生命を救ってくれた。一度は〔ナチの〕占領下に餓死しそうだったとき、二度目は眼の膿瘍で死にかかったとき……」

個人の運命と時代の宿命が重なりあって、現代の苦悩をそのままに凝集し、もっとも深くわれわれの時代の批判を試みながら、その昇華の方向を指し示す作品といえよう。