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ハイデッガー ツォリコーン・ゼミナール【新装版】

MARTIN HEIDEGGER: ZOLLIKONER SEMINARE


「わたしたちは奇妙で異様で不気味な時代に生きています。情報量が猛烈に高まれば高まるほど、それだけますます決定的に諸現象に対する目のくらみと盲目が広がっていきます。情報に際限がなくなればなくなるほど、現代の思惟がだんだん見る力を失い、効果と、そしておそらくはセンセーションしか見込めない見識を欠いた打算になってきていることへの洞察能力は、ますます弱くなります。しかし思惟が打算ではなく、感謝であることを経験できる人々はまだ少しはいるのです。思惟が感謝だというのは、思惟が、開かれていることからの語りかけ、つまり存在するものがあるのであって無があるのではないという語りかけのおかげで可能となり、この語りかけを受け取るという仕方でつねにそれに直面し続けている限りのことです。この〈ある〉において、存在の語られざる言葉が人間に語りかけています。人間の卓越性と危機とはともに、存在者としての存在者にとって多様なありかたで開かれて立つということに基づいているのです。」

晩年の十数年間、ハイデッガーは精神科医のメダルト・ボスと深い親交があり、スイスはチューリッヒ近郊にあるツォリコーンのボスの自宅で、1959年から11年間、定期的なゼミナールをひらいていた。参加したのは50人ほどの精神科医や臨床心理学者たち。非専門家に向かって、ハイデッガーは自分の哲学を、厳密にしかもわかりやすく語りかけている。「存在とは何か」という根本問題を基底に、『存在と時間』から〈転回〉をへて、晩年の科学技術や地球の危機をめぐるその思索のすべてを。わけてもここでは、心身問題が大きなテーマになっている。ビンスヴァンガーやブランケンブルク、シラジへの鋭い批判も挿まれている。

語りと対話と書簡の三部構成からなる本書は、20世紀最大の哲学者の人と思想を伝えてあまりある。そして何よりも〈問うということ〉の大切さと深さを、われわれに教えてくれる。



著訳者略歴

マルティン・ハイデガー
Martin Heidegger

1889年、ドイツのメスキルヒに生まれる。マールブルク大学助教授(1923-28)、フライブルク大学教授(1929-45)。1933年には同大学学長を務める。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
メダルト・ボス
Medard Boss

1903年スイスに生まれる。チューリッヒ大学卒業後、パリおよびウィーンの大学に学び、ロンドン、ベルリンでも研究を行なっている。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
木村敏
きむら・びん

1931年生まれ。1955年京都大学医学部卒業。現在京都大学名誉教授、河合文化教育研究所主任研究員。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
村本詔司
むらもと・しょうじ

1947年大阪に生まれる。京都大学教育学部卒業。現在神戸市外国語大学外国語学部教授。博士(人間科学)、臨床心理士。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


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ハイデッガー ツォリコーン・ゼミナール【新装版】

「ハイデッガー ツォリコーン・ゼミナール【新装版】」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/456頁
定価 6,696円(本体6,200円)
ISBN 4-622-04919-8 C3010
1997年10月9日発行

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