みすず書房

新=批評的エッセー【新装版】

構造からテクストへ

NOUVEAUX ESSAIS CRITIQUES

判型 四六判
頁数 220頁
定価 3,190円 (本体:2,900円)
ISBN 978-4-622-04967-8
Cコード C1098
発行日 1999年11月19日
備考 在庫僅少
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新=批評的エッセー【新装版】

ラ・ロシュフーコー、百科全書、プルースト、フロベールなど、古典的な作家と書物を扱ったこれらのエッセーは1961-71年にかけて執筆されたが、この10年間にバトは、『記号学の原理』、『S/Z』、『サド、フーリエ、ロヨラ』などの主要著作を発表している。たえず転位する刺戟的な批評家であるバルトの、この間の文学的軌跡が本書のエッセーには集約・反映されている。それは、バルト的批評における新たな方向、「批評のディスクール」から「読書としてのエクリチュール」へ、「構造分析」から「テクスト分析」への進化である。バルトにおける、かかる批評的転位は、テクスト分析の一種の「方法序説」ともいうべき傑作「どこから始めるべきか?」にはっきりと表われている。これはまた、まことに卓れて魅力的な「読書」への招待状でもある。
「つまり問題はテクストの〈説明〉や、ある〈実証的成果〉(作品の真実となるような最終的記号内容、または作品の限定)ではなく、反対に分析(または分析に似たもの)を通して記号表現の戯れに、エクリチュールに加わることであり、ひとことで言えば、自分の作業によってテクストの複数性を実現することなのである。」(R・バルト)

目次

ラ・ロシェフーコー『格言集』
『百科全集』の図版
シャトーブリアン『ランセの生涯』
プルーストと名前
フロベールと文
どこから始めるべきか?
フロマンタン『ドミニック』
ピエール・ロチ『アジヤデ』

原註
訳註
訳者あとがき