玩具と理性【新装版】
経験の儀式化の諸段階
TOYS AND REASONS

判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 224頁 |
定価 | 2,860円 (本体:2,600円) |
ISBN | 978-4-622-04988-3 |
Cコード | C1037 |
発行日 | 2000年10月10日 |
備考 | 現在品切 |

TOYS AND REASONS
判型 | 四六判 |
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頁数 | 224頁 |
定価 | 2,860円 (本体:2,600円) |
ISBN | 978-4-622-04988-3 |
Cコード | C1037 |
発行日 | 2000年10月10日 |
備考 | 現在品切 |
〈玩具の世界は、子どもの築く港だ。自我の分解修理が必要なとき、彼はそこに帰ってゆく。〉(『幼児期と社会』)
遊びによって世界の雛形がつくられ、経験が処理され、現在は劇化され、ふたたび生への希望を強化するという。〈これがつくりたかったんだ〉と遊戯の完了を告げる黒人少年ロバートの症例分析は、そのすべてを物語っているだろう。さらに人との遊び、ものとの相互交渉のそれぞれの場にあらわれる新しい視覚と時空の経験は、認識の道具と生きいきした理性の胎盤をつくるだろう。例えば、ことばの習得以前に、パズル・積木・方向磁石に沈潜して遊ぶ幼児アインシュタインの姿が印象深く語られている。
ホイジンガやローレンツなどの提示した問題もここに吸収され、臨床心理の立場から遊戯性のもつ意味の多面性が明らかにされ、その重要性が問われている。「遊びこそ、習慣の産婆である」とベンヤミンはかつて言った。自由な活動余地を試みる遊びと、それに対抗しつつ統合的発達をうながす儀式化、遊びと現実、個体と共同意識など、その対立が導き出す弁証法的構図が、人間の内側から具体的に示されるだろう。