自然の観念【新装版】
THE IDEA OF NATURE

判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 304頁 |
定価 | 3,080円 (本体:2,800円) |
ISBN | 978-4-622-05140-4 |
Cコード | C1010 |
発行日 | 2002年8月20日 |
備考 | 現在品切 |

THE IDEA OF NATURE
判型 | 四六判 |
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頁数 | 304頁 |
定価 | 3,080円 (本体:2,800円) |
ISBN | 978-4-622-05140-4 |
Cコード | C1010 |
発行日 | 2002年8月20日 |
備考 | 現在品切 |
コスモロジー——人間の自然に対する観念——の複雑な諸相を、これほど明快に、深く考察した叙述は、現代の哲学者の何ぴともなしえなかった。1930年代より孜々としてこの課題を探求したコリングウッドは、死後公刊されたこの書物で、自然の観念の展開を、体系的なコスモロジーの3つの段階において省察した。それは、ギリシア、ルネサンス、そして現代である。
ギリシアの自然学は、マクロ・コスモス=自然とミクロ・コスモス=人間とのアナロジーによって、またルネサンスは、自然という神の作品と機械という人間の作品とのそれにより特徴づけられ、現代は歴史との類比に基づいた進化論的な自然観で解釈される。ギリシアにあっては、自然界は精神によって満たされた叡智的有機体とみなされたが、デカルトにとって肉体と精神は全く異なる実体である。そしていまや、その実体も機能へと解消されるおびただしい数の宇宙論的実験の時代のうちにある。自然にかんする学は、この段階にまで到達した。ではわれわれは此処から何処へ行こうとしているのであろうか。
この問いに自然科学のみが答ええた時代は終えた。コリングウッドは、タレスよりホワイトヘッドにいたる自然観の歴史をたどり、哲学と科学との間の深い裂け目に哲学の側から橋を架けることによって、一つの答えを与えようと試みたのである。