みすず書房

戦争への道における教育と天皇制の関わりの諸相。宮城遙拝、君が代、日の丸、尊徳像、「聖訓ノ述義ニ関スル協議会」報告書など。

本書は、近現代日本の教育と天皇制との関係を歴史的に検証することを目的として編集された初の本格的資料集である。
前巻収録の資料を受けて、本巻では「奉体」のシステムの推移を時系列に従って明らかにする。「戊申詔書」の公布(1908年)から関東大震災後の「国民精神作興ニ関スル詔書」(1923年)へ、さらに日中戦争下における「青少年学徒ニ賜ハリタル勅語」の発布(1939年)を経て敗戦直前の時期まで、次第にファナティックな色合いを帯びて強化されていく天皇崇拝教育の様相がここに示される。
こうした詔勅の解説を修身教科書の記述に即して通覧するとき、天皇制国家が要請した各時期の「よい日本」像が如実に浮かび上がってくる。またいかにしてその理念が公定されるに至ったかをうかがわせる資料として「聖訓ノ述義ニ関スル協議会」の報告書全文を本巻に収録した。


[1996年1月初版発行]

目次

凡例

六 「奉体」の構造化
(1)強化の諸施策
  1「戊申詔書」以後
  2「国民精神作興ニ関スル詔書」以後
  3「青少年学徒ニ賜ハリタル勅語」以後
(2)聖訓ノ述義ニ関スル協議会報告
(3)文部省著作の教科書における教育勅語等の解説