みすず書房

日清戦争の勝利、有頂天に達した世論は、講和条約直後の三国干渉によってその酔いをさまされて、膨張的国家論が抬頭してきた。「戦後経営」の美名に隠れて軍備拡張をはかる内閣、その走狗となり、立法権の一部をさえ行政権に割与するかつての自由主義を高唱した党派。「日本」社説に示された批判は、近代政治の原則を把持しつつ、リベラリズムとナショナリズムを結合した「日本主義」を最も良く表現する。

[1970年10月初版発行]