みすず書房

日英同盟の成立と共に国際舞台に登場した日本は、内には足尾鉱毒事件の社会問題の発生を見る。陸羯南はそのなかで現実の日本の「近代国家」への跳躍に、大きな問題があることを捉えていた。それは松方・井上・山形による「元老政治」であり、「議院政治」を理念として対峙させる。「帝国」イデオロギーの蔓延する状況のなかで、歴史と近代政治の原理に対する柔軟な理解に基づく、自由主義的な思想が示される。

[1972年5月初版発行]