みすず書房

シェイクスピアにおける異人

THE STRANGER IN SHAKESPEARE

判型 四六判
頁数 384頁
定価 5,280円 (本体:4,800円)
ISBN 978-4-622-07002-3
Cコード C1098
発行日 2002年8月20日
備考 現在品切
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シェイクスピアにおける異人

「私はこの研究をわがままな行為ではなく、むしろ自己鍛錬の行為と考えている。なぜならシェイクスピアと向かい合う者は誰でも初めは鉄面皮で、最後に謙遜し、恐れさえ抱くようになるからだ……まるで人間の世界はシェイクスピアが作ったもので、人間が自分のことを皮膚に包まれた存在と考える以上に面白いものだとわかるのだから、私は〈われわれのシェイクスピア〉についてでなく、〈シェイクスピアのわれわれ〉について書こうと試みた」(はしがき)。

著者はすでに『アメリカ小説における愛と死』において古典的な評価を得ている尖鋭な批評家=学者である。体制派から〈恐るべき子供〉と評された著者が25年の歳月をかけて完成したのが本書、『シェイクスピアにおける異人』である。劇作品と『ソネット集』に関する精妙な分析によって、著者はシェイクスピアにおける異人の四つの元型——女性・黒人・新世界の先住民・ユダヤ人——を確定し、その隠された意味を探究、驚くべき深層を明らかにしてゆく。『ヘンリー六世・第一部』『ヴェニスの商人』『オセロー』『あらし』の精読から、シェイクスピア作品における精神的なテンションや秘かな先入観があぶり出され、未知の新しい詩人像が立ち現われる。フェミニズムやポストコロニアルの問題を先取りした、出色のシェイクスピア論。

目次

はしがき  ソネット二七番
序文——悲しむ巡礼者  ソネット一四四番
1 他者としての女性、または「女たちだけが残った……」  ソネット二〇番
2 他者としてのユダヤ人、または「これがキリスト教徒の夫だ」  ソネット一三八番
3 他者としてのムーア人、または「美しい妻にひどい目にあわされて……」  ソネット一四六番
4 他者としての新世界の野蛮人、または「お前には新しい世界だ」  納め口上

原注
訳注
訳者あとがき