みすず書房

トランスアトランティック・モダン

大西洋を横断する美術

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 328頁
定価 5,280円 (本体:4,800円)
ISBN 978-4-622-07006-1
Cコード C3070
発行日 2002年9月25日
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トランスアトランティック・モダン

1921年7月21日、ひとりの小柄なアメリカ人が、大西洋航路を辿ってニューヨークからパリに降り立った。——マン・レイのパリ到着とともに幕を開ける本書のテーマは、20世紀前半のモダニズムにおける「フランスとアメリカの美的交感の劇」である。

1910-20年代のパリ—ニューヨーク。そこでは「ダダ」を合言葉に、フランスとアメリカの芸術家たちが活発な交流を繰りひろげていた。そのさなかにあって、フランシス・ピカビア、マルセル・デュシャン、パブロ・ピカソ、フェルナン・レジェなどフランスの前衛たちが、摩天楼、ジャズ、映画、工業機械、広告といった新時代の「アメリカ的形象」に、いかに深く魅了されていたか。

また、モートン・シャンバーグ、チャールズ・シーラー、ジェラルド・マーフィーといった、今日ではほとんど顧みられることのないアメリカの画家たちが、いかに旧来の伝統や因習から解き放たれた、斬新な「アメリカ的精神」を体現していたか。

本書ではこうした大西洋間の美的交流が、詳細な資料の解読と周到な作品分析によって、いきいきと説得的に語られる。

さらに、フランク・ロイド・ライトとプレ=コロンビア建築、ヴィフレド・ラムと錬金術といった視点をとおして、本書は美術のみならず、建築、映画、演劇、文学といった多様な領域に視線を届かせ、20世紀前半の「モダン」の諸相を、いっそう重層的に浮かびあがらせる。繊細かつ大胆な、歴史の読み換えの実践であり、美術史を書き換える画期的な労作である。