みすず書房

女性と中国のモダニティ

WOMEN AND CHINESE MODERNITY

判型 A5判
頁数 376頁
定価 6,050円 (本体:5,500円)
ISBN 978-4-622-07037-5
Cコード C3010
発行日 2003年8月25日
備考 現在品切
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女性と中国のモダニティ

「抑圧された者たちの伝統は、私たちが生きている『非常事態』がじつは通常の状態なのだと、私たちに教えてくれる。この教えに適った歴史の概念を、私たちは手に入れなければならない」。
このベンヤミンの一節を題辞に掲げ、著者は言う。「抑圧された者というこのカテゴリーこそが、私が自分自身を位置づけている場所である。私は帝国主義的支配の言語に属し、かつまた中国に関わる分野でさまざまな文学批評の形式をとって正当化されてきたヒエラルキー、崇高性、純粋性、愛国心といったこれらのメタファーに与さずに読むことがどれほど不可欠で重要か、ということを示そうと思う。……私の読みの要点は『中国の』という用語を括弧で括ること、そして西洋帝国主義が世界中に及ぼした影響にたいする集団的反応の一部分として、近代中国の文学が直接的な『文化に固有の』コンテクストを越えた今日性をもっていることを実証することだ」。
ベルトルッチの映画、クリステヴァの纏足論をはじめ、中国は女性という他者として表象され、中国人女性そのものは見世物としてのフェミニニティを刻印されてきた。これら「他者の理想化」に抗しつつ、近代中国、そのテクストにおける主体性をいかに「語り」「示す」か。西洋と東洋のはざまで、「西洋化されたエスニックな主体のとらえどころのない現実」をいかに回復するか。——ポストコロニアル批評の旗手、『ディアスポラの知識人』の著者レイ・チョウのデビュー作。(原著1991年刊)

目次

凡例
謝辞


第1章 近代中国を見る  エスニック・スペクテイターシップ理論に向けて
第2章 鴛鴦胡蝶派  通俗小説で読みを実践する
第3章 モダニティと語り  女性のディテールについて
第4章 愛する女性  マゾヒズム、ファンタジー、“母なるもの”の理想化

原注
訳注
訳者あとがき