みすず書房

アラウとの対話【新装版】

CONVERSATION WITH ARRAU

判型 四六判
頁数 388頁
定価 5,280円 (本体:4,800円)
ISBN 978-4-622-07041-2
Cコード C1073
発行日 2003年6月5日
備考 現在品切
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アラウとの対話【新装版】

2歳のときベートーヴェンを聴き覚え、ほかの作曲家と区別できたすばらしい記憶力の持主。チリ生れの天才ピアニスト、クラウディオ・アラウ(1903-1991)の生涯とその絶妙な音楽論、経験からにじみ出る知恵やユーモア、また感受性や品位などが、聞き手であるニューヨーク・タイムズのホロヴィッツによって見事にひき出される。

ベートーヴェンはもとより、リスト、モーツァルト、ショパンなどアラウがとくに好んだ作曲家の曲目、さらにいかなる音楽家の作品の演奏においても、彼の演奏を貫く高度のテクニックと解釈とは、つねに聴衆を魅了してきた。譜面の背後のどんな情感にも人間であることの不安を感じとる能力、感情移入の能力の必要なことをアラウは語っている。彼はフルトヴェングラーの優れている点を緊張、気迫、解放感、深さだと語っているが、それはほかならぬアラウ自身にもあてはまるであろう。

原書は1982年ニューヨークで出たが、翌年には優秀音楽書として、米国作曲作詞家出版協会ディームズ・テイラー賞を受賞。「演奏芸術家に関するもっとも優れた著作の一つ。著者の当を得た賢明な質問に、アラウが言葉を尽くした誠実な答えを返す。音楽について、関心ある諸作品について、ピアニストについて、興味の赴くまま自在な回想と考察を展開させつつ、しかもバランスよくまとめている」(『ニューヨーカー』)「例のない率直な心の対話、アラウは音楽家と共に人間としての誠実さにおいて偉大であることが示される」(D.バレンボイム)などと絶賛を受けた。