みすず書房

「俳人自照
初鴉大虚鳥こそ光あれ 草田男
初鴉大虚鳥こそ天翔けれ 草田男
初鴉大虚鳥の声限り 草田男

大虚鳥(おほをそどり)は大軽率鳥とも表記される鴉の蔑称である。これを〈声限り〉と詠い〈光あれ〉と讃えるところに、詩としての俳句に没入しその探求に生涯心血を注いだ草田男ならではの自照表現がある。その草田男豊饒の20年間を代表する760余句である。——成田千空」

昭和を代表する俳人・草田男が世を去って20年。第八句集『時機(とき)』刊行から23年。ここに遺された5000句(昭和38-58年)から760余句を「萬緑」同人が精選して、第九句集を刊行する。俳句関係者にとって待望されていた企画を、ここに実現。