みすず書房

近代人の模倣

L’IMITATION DES MODERNES

判型 四六判
頁数 456頁
定価 6,600円 (本体:6,000円)
ISBN 978-4-622-07059-7
Cコード C1010
発行日 2003年9月25日
備考 現在品切
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近代人の模倣

「われわれが偉大となり、もし可能なら、模倣しえないものとなるための唯一の手段とは、〈古代人〉を模倣することである。」(ヴィンケルマン)

受動的な物真似としてミメーシス(模倣)を退けるプラトン、産出的創作としてミメーシスを称揚するアリストテレス。固有性と非固有性、ピュシス(自然)とテクネー(技術、芸術)をめぐって古代ギリシアから遺贈された「模倣」という争点は、4人の近代人に深刻なダブル・バインドを課す。
いかなる固有性ももたない俳優のみがあらゆる者になりうる逆説によって、プラトン的ミメーシスを転換するディドロ。ギリシア人に固有のパトス(激情)が卓越したテクネーによって破滅した、という悲劇の論理によって、ついには「模倣不可能なギリシア」にいたるヘルダーリン。「実在しないドイツ」から出発して、プラトニズムを転倒し、能動的ミメーシスによる意志の形而上学に訴えるニーチェ。政治と芸術作品をポイエシスとテクネーによって結びつけ、アレーテイア(真理)の本質としてのミメーシスを思索するハイデッガー。
デリダやリオタールへの応答もまじえつつ、哲学と芸術と政治が交差する場面で、ヨーロッパ的知の起源(ミメーシス)を脱構築する、ラクー=ラバルトの主著、いよいよ登場。

目次

ディドロ
 パラドックスとミメーシス
ヘルダーリン
 思弁的なるものの中間休止
 ヘルダーリンとギリシア人
ニーチェ
 歴史とミメーシス
アンタゴニズム
ハイデッガー
 政治のなかの有限なる超越/超越は政治のなかで終わる
 詩学と政治
最後の哲学者
 形象としてのオイディプス
二人への語りかけ
 ジャック・デリダへ——の名において
 ジャン=フランソワ・リオタールへ——われわれはどこまで話したのか?

原注〔および訳注〕
訳者あとがき