みすず書房

アメリカの反知性主義

ANTI-INTELLECTUALISM IN AMERICAN LIFE

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 464頁
定価 5,720円 (本体:5,200円)
ISBN 978-4-622-07066-5
Cコード C1030
発行日 2003年12月19日
備考 在庫僅少
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アメリカの反知性主義

アメリカの宿痾を剔抉し、ピュリッツァー賞に輝く名著。
いまや現代日本にも蔓延する「反」知性主義という妖怪。その正体を見極めるに恰好の古典。
—— 竹内洋(京都大学名誉教授)

1952年、マッカーシー旋風の吹き荒れるなかで行なわれた大統領選挙は、「知性」と「俗物」が対立する図式となった。そして後者、すなわちアイゼンハワー=ニクソン・コンビが圧勝し、知識人も批判派も「アメリカ社会が知識人を否認した」ことを理解した——「知識人階級と大衆のあいだに巨大で不健全な断絶があることが明白になった」(『タイム』)、「知識人は今後、所得税から真珠湾攻撃まで、あらゆることの罪を背負わされるだろう」(シュレジンジャー二世)。さらにこのムードはアメリカ社会のすべての分野に広がり、「反知性的」という表現はアメリカ人が自己評価に使うもっとも重要な形容詞となった。
著名な歴史家のホーフスタッターも、この政治的・知的状況に触発され、「反知性主義」の概念を軸にしてアメリカ史をさかのぼる。ピューリタニズムと建国の精神を再検討し、18世紀中ごろにアメリカ植民地に広まった信仰復興運動から20世紀後半にカリスマ的存在となったビリー・グレアムにいたる系譜、「専門家」の重用をめぐる知識人と政治の確執、実業界に浸透した実用主義、ジョン・デューイの教育思想が受容されるまでの紆余曲折、マーク・トウェインやソローの文学などを精査する。
しかし著者の意図は、アメリカの精神風土をもっぱら批判断罪することではなく、知識人とは何か、知識人は民主主義の実現に貢献する力になれるのかと問いつづけて止まない。読者には、アメリカの知的伝統とは何かを逆に問う、著者の熱い思いが伝わるだろう。感動のノンフィクションであり、アメリカ史の古典である。

目次

はじめに

第一部 序論
第1章 現代の反知性主義
第2章 知性の不人気

第二部 心情の宗教
第3章 福音主義の精神
第4章 福音主義と信仰復興論者
第5章 近代性への反乱

第三部 民主主義の政治
第6章 ジェントルマンの凋落
第7章 改革者の運命
第8章 専門職の興隆

第四部 実用的な文化
第9章 ビジネスと知性
第10章 自助と霊的テクノロジー
第11章 ひとつのテーマをめぐる諸相

第五部 民主主義の国の教育
第12章 学校と教師
第13章 生活適応への道
第14章 子どもと世界

第六部 結論
第15章 知識人 疎外と体制順応

原注
訳者あとがき
索引

書評情報

朝日新聞(向井万起男・評)
2015年11月25日
毎日新聞「この3冊」(手嶋龍一・評)
2016年4月24日
日本経済新聞「Opinion」(大島三緒・評)
2017年3月30日(木)
毎日新聞「オピニオン・記者の目」(鈴木英生・評)
2015年7月22日
読売新聞(竹森俊平・評)
2016年9月2日(金)
日本経済新聞「今を読み解く」(渡辺靖・評)
2016年6月12日
朝日新聞「ひもとく」(生井英考・評)
2020年11月14日