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その音楽の〈作者〉とは誰か

リミックス・産業・著作権

著者
増田聡

つくり手と聴き手の境界領域を、細心の緻密さで分析し、錯綜する音楽シーン理解への突破口を開く重要な書。理論的な発展目覚ましい英米圏の研究蓄積を踏まえ、〈作者〉〈作品〉概念の再構築を試みる。「作者性」の核心を衝いた、ポピュラー音楽文化論の最前線を示す一冊。

社会に溢れる音楽は、それがいかにありふれた、何とでも取り替え可能なものであったとしても、「誰か」の能動的行為の所産であることには変わりない。その誰かの労働/仕事/作品はまた、その対価をも要求することにもなるだろう。「これは私の《作った》音楽だ」という声が、至る所から聞こえてくる。経済とロマン主義が音楽の上で交錯する。

では「その音楽」は誰のものか? あるいはそもそも「その音楽」とは何を指すのか? 茫漠とした問いではあるが、それを伝統的な美学の用語によって定式化するならば「音楽における〈作品〉あるいは〈作者〉とは何か? そして両者の関係とは何か?」という本書の問いとなる。

本書では、クラブ・ミュージックの技術的基盤、音楽産業の構造変容、著作権の思想史を通じて、現代ポピュラー音楽の「作者性」の布置状況を明らかにした。ポストモダニストが声高に叫ぶ「作者の死」というスローガンを疑い、現実の「拡散する作者」の在り様へと肉薄する思考を提示する。


目次


序論 問題の所在
第I部 〈作品〉と〈作者〉をリミックスする――クラブ・ミュージックとDJ文化
第1章 クラブ・ミュージック小史
第2章 クラブ・ミュージックの存在論――間テクスト性の美学と複製メディア
第3章 拡散する〈作者〉――聴取‐作者としてのDJ

第II部 誰の音楽? 誰の権利?――音楽産業と著作権システム
第4章 この音楽は商品だが、それに何か問題でも?――音楽産業論の視角
第5章 音楽「著作権」の布置――近代日本における概念の生成と変容
第6章 音楽生産と音楽著作権――広告音楽タイアップの経済構造

第III部 その音楽は誰のものか
第7章 作品概念の分析美学
第8章 〈作者〉の諸機能――署名・所有・帰属・語りの位置


あとがき――何が〈作者〉を作りだすのか
参考文献
索引


著訳者略歴

増田聡
ますだ・さとし

1971年、北九州市生まれ。大阪大学文学部美学科卒。大阪大学大学院 文学研究科 博士後期課程修了。博士(文学)。専攻は、音楽学・文化社会学・メディア論。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「その音楽の〈作者〉とは誰か」の画像:

その音楽の〈作者〉とは誰か

「その音楽の〈作者〉とは誰か」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/272頁
定価 3,080円(本体2,800円)
ISBN 4-622-07125-8 C0073
2005年7月22日発行

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