みすず書房

その音楽の〈作者〉とは誰か

リミックス・産業・著作権

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 272頁
定価 3,080円 (本体:2,800円)
ISBN 978-4-622-07125-9
Cコード C0073
発行日 2005年7月22日
備考 現在品切
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その音楽の〈作者〉とは誰か

つくり手と聴き手の境界領域を、細心の緻密さで分析し、錯綜する音楽シーン理解への突破口を開く重要な書。理論的な発展目覚ましい英米圏の研究蓄積を踏まえ、〈作者〉〈作品〉概念の再構築を試みる。「作者性」の核心を衝いた、ポピュラー音楽文化論の最前線を示す一冊。

社会に溢れる音楽は、それがいかにありふれた、何とでも取り替え可能なものであったとしても、「誰か」の能動的行為の所産であることには変わりない。その誰かの労働/仕事/作品はまた、その対価をも要求することにもなるだろう。「これは私の《作った》音楽だ」という声が、至る所から聞こえてくる。経済とロマン主義が音楽の上で交錯する。

では「その音楽」は誰のものか? あるいはそもそも「その音楽」とは何を指すのか? 茫漠とした問いではあるが、それを伝統的な美学の用語によって定式化するならば「音楽における〈作品〉あるいは〈作者〉とは何か? そして両者の関係とは何か?」という本書の問いとなる。

本書では、クラブ・ミュージックの技術的基盤、音楽産業の構造変容、著作権の思想史を通じて、現代ポピュラー音楽の「作者性」の布置状況を明らかにした。ポストモダニストが声高に叫ぶ「作者の死」というスローガンを疑い、現実の「拡散する作者」の在り様へと肉薄する思考を提示する。

目次

序論 問題の所在
第I部 〈作品〉と〈作者〉をリミックスする——クラブ・ミュージックとDJ文化
第1章 クラブ・ミュージック小史
第2章 クラブ・ミュージックの存在論——間テクスト性の美学と複製メディア
第3章 拡散する〈作者〉——聴取‐作者としてのDJ

第II部 誰の音楽? 誰の権利?——音楽産業と著作権システム
第4章 この音楽は商品だが、それに何か問題でも?——音楽産業論の視角
第5章 音楽「著作権」の布置——近代日本における概念の生成と変容
第6章 音楽生産と音楽著作権——広告音楽タイアップの経済構造

第III部 その音楽は誰のものか
第7章 作品概念の分析美学
第8章 〈作者〉の諸機能——署名・所有・帰属・語りの位置


あとがき——何が〈作者〉を作りだすのか
参考文献
索引