みすず書房

詩集『渡世』(高見順賞)から8年、前作『空中の茱萸』(読売文学賞)から6年、出るたびに赫々たる評価と熱心な読者を得ながら、前人未踏の領域に入ってゆく荒川洋治。いちばん気になる現代詩作家、待望の最新詩集である。あとがきにいう。「心理は、ときどきの人の心からは、遠いものかもしれない。また、まわりにあるものをうけとめながらも、うけいれない。そんな一瞬あるいは長引くものを、人はかかえることがある。」標題作ほか、「浅間が見えると/ぼくらの思い出がはじまる」という書き出しが鮮烈に転調する傑作「軽井沢」など12編に書き下ろし2編を加えた。

目次

宝石の写真
こどもの定期
デトロイト
心理
集会場の緑
軽井沢

葡萄と皮
美しい村
足跡
風俗小説論
カラカラ
安房
あからしま風
あとがき