みすず書房

アメリカ文化の日本経験

人種・宗教・文明と形成期米日関係

OUTPOST OF CIVILIZATION

判型 四六判
頁数 272頁
定価 3,960円 (本体:3,600円)
ISBN 978-4-622-07170-9
Cコード C1021
発行日 2005年12月9日
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アメリカ文化の日本経験

白色アメリカ人は人種ヒエラルキーの頂点に位置しており、自分たちこそがキリスト教文明の勢力範囲を広げる使命を担う——19世紀後半に多くのアメリカ人が抱いていた信念にたいして、明治日本はひとつの挑戦を突きつけた。

日本人の風習や礼節に向けられるアンビヴァレントな眼差し。日本の急速な文明化を称える啓蒙主義者と、それが精神性をないがしろにしていると非難する宣教師との論争。ジャポニズムを愛好する芸術家の、女性(伝統)賛美と男性(物真似)嫌悪。日米通商不平等条約の改正をめぐる政治家や外交官の駆け引き。当時のアメリカ国内の新聞・雑誌、日本滞在記、外交文書などを読み解きながらヘニングは、「黄色人種」で「異教徒」の国日本を受け入れていくさいのアメリカ人の困惑を、歯切れよくウィットに富んだ文章で叙述していく。

「著名な日本専門家は、すでに受け入れられている人種と文化のヒエラルキーのなかに日本を組み入れるべく新たな手段を考案し、ついに日本人を"白人"で"アングロ・サクソン人"の"キリスト教徒"と分類し直したのである。」(序章より)

政治外交から文化交流におよぶ、幅広く領域横断的な歴史叙述によって、日米関係における他者認識に重大な再考をうながす新たな歴史書である。