みすず書房

闇なる明治を求めて

前田愛対話集成 I

判型 四六判
頁数 384頁
定価 5,280円 (本体:4,800円)
ISBN 978-4-622-07182-2
Cコード C1095
発行日 2005年12月19日
備考 現在品切
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闇なる明治を求めて

『近代読者の成立』『幻景の明治』『都市空間のなかの文学』ほか、近世・近代文学を自在に往還しつつ、実証的かつスリリングなテクスト読解を提示、また内外の同時代理論をしなやかに吸収しながら独創的な問題系を提起しつづけた前田愛(1931-1987)。国文学研究において切り開いたその地平は、ジャンルを越えて今日もなお立ち返るべき思索の橋頭堡である。単行本未収録の対談・座談を精選、その全体像を浮き彫りにする集成、全2巻。

[第I巻] 司馬遼太郎、山田風太郎の時代小説は明治をどうとらえたか? 明治の言文一致体、近代小説はいかに生まれ、何を切り捨てたか? 馬琴『八犬伝』再評価に伴い、文学史はいかに書き換えられるべきか? 時代と表現、政治と文学の錯綜を解きほぐす「明治カルチュラル・スタディーズ」。井上ひさし、大岡昇平、尾崎秀樹、川村二郎、種村季弘、野口武彦、橋川文三ほかとの対話。解説・金子明雄。

目次

I 小説と史実
「歴史小説の周辺」  大岡昇平/芳賀徹
「山田風太郎と〈明治もの〉の魅力」  上野昂志
「一葉についての〈噂〉」  井上ひさし

II 近世から近代へ
「馬琴、幻想と伝奇の物語」  川村二郎
「世界と均衡する言語空間」  種村季弘
「日本文学の『近代』とは何か」  亀井秀雄/高田衛/野口武彦/平岡敏夫

III 言語とメディア
「下流民権の高揚と屈折」  尾崎秀樹
「明治初年代の可能性」  橋川文三
「政治小説と明治二十年代の文学」  橋川文三
「近代文学成立期の言語とメディア」  杉山康彦/篠田浩一郎/針生一郎

IV 文学の「原郷」
「闇なる明治を求めて」(インタビュー)
「境界線上の文学——鏡花世界の原郷」  山口昌男
「永井荷風の世界」  磯田光一/中島国彦
「日記・歴史・文学」  大岡昇平/紅野敏郎