みすず書房

環境の歴史

ヨーロッパ、原初から現代まで

HISTOIRE DE L’ENVIORONNEMENT EUROPEEN

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 328頁
定価 6,160円 (本体:5,600円)
ISBN 978-4-622-07264-5
Cコード C1022
発行日 2007年1月10日
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環境の歴史

「環境」という言葉が生まれるはるか以前から、人間は自然とともに生きてきた。あるときは恐るべき敵として、あるときは魅惑するものとして。
人間は常に自然の影響を受け、寿命や身長、ものの見方や感じ方、時間や空間の概念に至るまで、環境とともに変化する。環境もまた客観的に存在するのではなく、それを見る人間の認識によって変化する。
だから環境の歴史は現代ではなく、原初からはじめられなければならない。本書があつかうのは新石器時代から、自然の征服、農村の生活、疫病、産業革命、エコロジーの発見、狂牛病まで。人類の歴史はそのまま「環境の歴史」なのだ。

〈人文・社会科学と自然科学の間には、どちらからみても残念な障壁が存在するが、その障壁を低くする将来有望な動きの中に、この本を位置づけなければならない〉(ジャック・ル=ゴフ)。自然環境そのものと、人間の認識をともにみることで、はじめて環境の本質がわかる。相互に変貌しつづける環境と人間との数千年に及ぶかかわりを壮大かつ厳密に描く、歴史学の達成。

目次

まえがき  ジャック・ル=ゴフ


第一部 環境史の歴史
第一章 十六世紀以前の環境に対する感受性
第二章 近現代における自然界の服従
第三章 アルカディア人の隠れ家からイデオロギーとしての環境へ
第四章 最近の展望の変化

第二部 時間の中の空間——変動と変動性
第五章 自然要因の変動
第六章 生物学的要因の変動
第七章 人間の生物学的要因の変動性

第三部  環境の人間化
第八章 近代以前のヨーロッパの環境におよぼされる人間の行為
第九章 農業・技術・産業・エネルギー「革命」(十八—二十世紀)
第十章 攪乱された環境
結論 脅かされた地球

編集者からひとこと

福井憲彦(西洋近代史・フランス史)、渡辺政隆(サイエンスライター)、青柳正規(西洋古典美術史)の三氏から、あいついで新聞書評をいただきました。

福井氏「理系の素養をも備えた著名なフランスの中世史家が中堅の近現代史家と協力して、先史時代から鳥インフルエンザまでを視野において問題の隅々にまで目を配り、歴史を縦横に駆け巡ってヨーロッパにおける人と環境のやり取りについて描いた叙述」(日本経済新聞2007年2月10日)

渡辺氏「書名はとても象徴的である。なぜなら人類史や自然史はあっても、環境史など、本来ならばありえない概念のはずだからである。しかし人類は、自然の社会的用途を定義する形で「環境」を発見し認識してきた」(朝日新聞2007年2月10日)

青柳氏「4世紀から5世紀、ローマ帝国の衰退と混乱に影響された人々は、太陽の光さえも弱くなったと感じた。それぞれの時代の環境がどのようにとらえられ、認識されたのかは、我々人間にとって、数学や科学でとらえた「環境」以上に現実的で具体的な環境なのである」(読売新聞2007年2月25日)

この三人の評者を得たことそのものが、歴史学と自然科学の両方に拠って立つ著者ドロール/ワルテールと、本書の位置とをみごとに象徴するのではないでしょうか。

第2刷のお詫びと訂正

2007年3月9日発行の第2刷42頁におきまして、下記の文章が脱落しておりました。「序」の末尾5行に相当する文章です。
深くお詫び申し上げますとともに、ここに謹んで訂正いたします。

る、というような喜びを与えてくれればのことである。そして、すべてが関連しあって、わたしたちの「根」を破壊することがその見返りに天の崩壊を招くだろう、という、たぶんガリアの「祖先たち」から来た恐怖を、そこにつけ加えないのだろうか。

書評情報

技術教室
2010年1月号
福井憲彦(学習院大学教授)
日本経済新聞2007年2月11日(日)
渡辺政隆(サイエンスライター)
朝日新聞2007年2月11日(日)
石弘之(環境問題研究者)
東京新聞2011年8月21日(日)
読売新聞(空想書店)
2013年7月14日(日)