みすず書房

あとがきで著者は本書を書いた動機について「わが愛する本とその書き手たちの肖像画を書きたい」と述べています。
「今は去った二十世紀という時代の経験を荷った本とその書き手たちへの親近感を、小伝というかたちによって、いくらかでも伝えられたらとねがう。活々とした言葉を、ただ文学史の枠組みに、あるいは逆にただ私感のなかに封じてしまわないようにするのに、小伝という方法はとても魅力的で有効だった。言葉の表情や身振りのなかに、物事のディテールのなかに、本質はさりげなくあらわれるからだ。」
オーデン、レナードとヴァージニアのウルフ夫妻の出版社ホガース・プレス、アンダスン、スタイン、エイキン、ハックスリー、ヴァイル、ラニアン、ルビー、ビーハン……この人たちとそれをつないでいる本の数々。何度でも読み返したくなる、ミニマルにしてあざやかな文章で綴られた本書を、色刷りの挿画を添えてお届けします。

目次

詩人の幼年時代
犬とリンゴと本と少年
アンダスンと猫
世界はまるい話
とても風変わりな動物
不思議の国のハックスリー
アメリカ三文オペラ
ラニアンさん
ウィリアム・ルビーの幸福
吟遊詩人よ、起て!

あとがき