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零度のエクリチュール【新版】

LE DEGRE ZERO DE L’ECRITURE


……自分自身の孤独をたえず後ろめたく感じながらも、それでもなお文学的エクリチュールは言葉の幸福を渇望する想像力であり、夢の言語のほうへとせき立てられてゆく。いわゆる理想的な先取りによって、言語が疎外されなくなるであろう新たなアダム的世界の完璧さを言語の新鮮さが描きだすような夢の言語のほうへと。エクリチュールの多様化は新しい文学を定着させる。その文学が、投企であるためだけに言語を生みだすというのであるかぎり。すなわち「文学」は言語の「ユートピア」となるのである。――ロラン・バルト


『零度のエクリチュール』は、バルトの著作のなかでももっとも読みにくい本である。初めての著書にありがちな気負いや概念の多用があり、表現もこなれていない。しかし、オペラの序曲のように、バルトのその後の歩みを高らかに奏でて告げている。1980年2月23日に――バルトが致命的な交通事故にあう二日前に――、彼はコレージュ・ド・フランスでの講義を、現代音楽の祖シェーンベルクの言葉を引用しながら、つぎのようにしめくくった。「今なお、ハ長調の音楽を書くことは可能です。ある意味で、わたしが作品において欲すること、それはハ長調の音楽を書くことであろうと思われます」。バルトが生涯の最後に口にした「ハ長調の音楽」とは、まさに彼が最初の本で夢見た「零度のエクリチュール」にほかならなかったのである。――訳者


目次


I
エクリチュールとは何か
政治的なエクリチュール
小説のエクリチュール
詩的エクリチュールは存在するか
II
ブルジョア的エクリチュールの勝利と破綻
文体の職人
エクリチュールと革命
エクリチュールと沈黙
エクリチュールと言葉
言語のユートピア

解説 バルトの登場――新聞論文から一冊の本へ(石川美子)

付録 『コンバ』紙発表の論文
「零度のエクリチュール」――1947年8月1日付
「ブルジョア的エクリチュールの勝利と破綻」――1950年11月9日付
「文体の職人」――1950年11月16日付
「エクリチュールと沈黙」――1950年11月23日付
「エクリチュールと言葉」――1950年12月7日付
「エクリチュールの悲劇的な感情」――1950年12月14日付
「物語の時制」――1951年8月16日付
「小説の三人称」――1951年9月13日付


著訳者略歴

ロラン・バルト
Roland Barthes

1915年生まれ。フランスの批評家・思想家。1953年に『零度のエクリチュール』を出版して以来、現代思想にかぎりない影響を与えつづけた。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
石川美子
いしかわ・よしこ

1980年、京都大学文学部卒業。東京大学人文科学研究科博士課程を経て、1992年、パリ第VII大学で博士号取得。フランス文学専攻。現在、明治学院大学教授。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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零度のエクリチュール【新版】

「零度のエクリチュール【新版】」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/160頁
定価 2,592円(本体2,400円)
ISBN 978-4-622-07380-2 C1010
2008年4月18日発行

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