マリア・シビラ・メーリアン
17世紀、昆虫を求めて新大陸へ渡ったナチュラリスト
CHRYSALIS

判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 376頁 |
定価 | 3,520円 (本体:3,200円) |
ISBN | 978-4-622-07411-3 |
Cコード | C0045 |
発行日 | 2008年9月22日 |
備考 | 現在品切 |

CHRYSALIS
判型 | 四六判 |
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頁数 | 376頁 |
定価 | 3,520円 (本体:3,200円) |
ISBN | 978-4-622-07411-3 |
Cコード | C0045 |
発行日 | 2008年9月22日 |
備考 | 現在品切 |
「ダーウィンよりも早く、フンボルトよりも前に、オーデュボンにも先んじて、マリア・シビラ・メーリアンは科学の発見を企ててヨーロッパから新世界に渡った。」それは1699年、彼女が52歳の年。アムステルダムで画家としての地位も確立した彼女を危険な旅へと駆り立てたのは、幼いころから続けてきた昆虫の変態の研究だった。
1970年代以降、遺された絵や習作ノートが200年以上を経て世に出てから、ナチュラリストとしてのメーリアンの再評価がはじまった。なかでも注目されているのは、リンネ以前の時代、昆虫の定義すら定まっておらず、昆虫が象徴的観念や伝説と実体との混合物だった時代に、生物としての形態そのものを捉えていたことだ。環境との関わりの中で生物を捉える生態学的な視点も、何世紀も時代に先駆けていた。
著者は残された資料を渉猟し、メーリアン家の出版業と当時の商業文化、科学としての体系化以前の生物学の様相、アムステルダムという都市の役割、駆け込み寺となった宗教共同体の影響など、稀有な才能を形作った興味深い背景を掘り起こす。
この人も奇特に生まれついたのではなく、やはり時代の要請のなかで、自らに率直な生き方を臆せず選んでいるうちに我知らず変態を遂げ、傑出していたのだ。そんなメーリアンの囚われない、虫愛づる魂に、誰もが鼓舞されずにはいられないだろう。
プロローグ スリナム、1700年
第1章 最も気高いイモムシ フランクフルト・アム・マイン、1647?1665年
第2章 小さな本の奇跡 フランクフルト・アム・マイン、ニュルンベルク 1665?1686年
第3章 沼地や荒れ地に生きるもの ウィーウェルト、1686?1691年
第4章 この大いなる世界 アムステルダム、1691?1699年
第5章 すさまじく、高価なる旅 スリナム、1699年
第6章 はるか野生に分け入って スリナム、1700?1701年
第7章 アメリカ大陸にて描かれた最初にして最も不思議な作品 アムステルダム、1701?1717年
第8章 現代の社会はとても敏感 ヨーロッパ、ロシア、アメリカ大陸、1717?1902年
第9章 色がとても素晴らしいから 研究室で、フィールドで、1902年?現代
終わりに
謝辞
訳者あとがき
参考文献
原注
索引
本書第1刷(2008年9月22日発行)308頁の1-2行目、「訳者あとがき」の文章中、下記【 】内の文字が脱落しておりました。謹んでお詫びして訂正いたします。(2008年9月)
……しかなかったかもしれないし、ましていま思えば、メーリアンが油彩画を描けずに、印刷という技術を使っ【て遠く、広く、自分の作品を解放できたからこそ、】いまだにわたしたちは彼女の作品と触れることができるのかもしれない。