スピヴァク、日本で語る
CONVERSATIONS IN JAPAN
卓越したデリダ読解で頭角を現わし、ポストコロニアル理論を牽引、近年は「複数のアジア」へと向かうガヤトリ・スピヴァク。2007年夏に日本に滞在した思想家は、傑出した知性と学問への真摯な姿勢、ユーモアたっぷりの人柄で聴衆を魅了する。本書は熱気溢れる講演の全記録である。
「ガヤトリ・スピヴァクは今回の一連の講演で、この困難な過渡期における世界的な知的営為のあり方について、ひとつの、考え抜かれた方向性を提示した。そこには、学問や政治をめぐる様々な提案、原則として私たちがみな進むべき普遍的方向性を示す道標と、ほかならぬガヤトリ・スピヴァクでなければ切り開きえなかった単独的な知的道程の痕跡とが分ちがたく交差していた」(「おわりに」鵜飼哲)
問題を一挙に解決する答が与えられることはない。あるのは真剣な知的対話への信頼だ。ガヤトリ・スピヴァクの思想に出会い、共に考えるための必読書。
目次
刊行によせて ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク
はじめに――日本で出会うスピヴァク 坂元ひろ子
人文学における学問的アクティヴィズム (本橋哲也訳)
〔応答1〕 判断力の可能性 岩崎稔
〔応答2〕 「洗練」を想像すること 李静和
比較文学再考 (新田啓子訳)
日本の研究者との対話 (竹村和子訳)
他のアジア (中井亜佐子訳)
おわりに――「怒涛の日々」を振り返って 鵜飼哲
著訳者略歴
- G・C・スピヴァク
- Gayatri Chakravorty Spivak
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1942年、インド西ベンガルのコルカタ(カルカッタ)に生まれる。
カルカッタ大学卒業後、1961年にアメリカ合州国に留学、ポール・ド・マンの指導のもと、コーネル大学でW・B・イェイツにかんする博士論文を完成させる。1967年にジャック・デリダの『グラマトロジーについて』の英訳を刊行し、脚光を浴びる。現在、コロンビア大学人文学教授兼比較文学社会センター長。日本語訳された著書に『文化としての他者』(紀伊國屋書店、1990)『ポスト植民地主義の思想』(彩流社、1992)『サバルタンは語ることができるか』(みすず書房、1998)『ポストコロニアル理性批判』(月曜社、2003)『ある学問の死』(みすず書房、2004)『スピヴァク みずからを語る』(岩波書店、2008)などがある。
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- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 鵜飼哲
- うかい・さとし
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1955年生。一橋大学大学院言語社会研究科教授。フランス文学・思想専攻。
著書に『抵抗への招待』(みすず書房、1997)『償いのアルケオロジー』(河出書房新社、1997)『応答する力』(青土社、2003)『主権のかなたで』(岩波書店、2008)。訳書にJ・デリダ『盲者の記憶』(みすず書房、1998)『友愛のポリティクス(1・2)』(共訳、みすず書房、2003)『生きることを学ぶ、終に』(みすず書房、2005)、J・ジュネ『恋する虜』(共訳、人文書院、1994)ほか。
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- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 本橋哲也
- もとはし・てつや
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1955年生。東京経済大学コミュニケーション学部教授。英文学、批評理論専攻。著書に『カルチュラル・スタディーズへの招待』(大修館書店、2002)『ポストコロニアリズム』(岩波新書、2005)ほか。
訳書にS・モートン『ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク』(青土社、2006)N・チョムスキー『メディアとプロパガンダ』(青土社、2008)、ほか。
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- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 新田啓子
- にった・けいこ
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1967年生。立教大学文学部英米文学専修准教授。アメリカ文学・文化理論専攻。訳書にT・ローズ『ブラック・ノイズ』(みすず書房、2009)。
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 竹村和子
- たけむら・かずこ
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お茶の水女子大学大学院教授。英語圏文学・批評理論専攻。著書に『フェミニズム』(岩波書店、2000)『愛について』(岩波書店、2002)。
訳書にJ・バトラー『ジェンダー・トラブル』(青土社、1999)『触発する言葉』(岩波書店、2004)J・バトラー/G・C・スピヴァク『国家を歌うのは誰か?』(岩波書店、2008)ほか。
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- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
- 中井亜佐子
- なかい・あさこ
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一橋大学言語社会研究科教授。英文学、批評理論専攻。著書に『他者の自伝』(研究社、2007)
- ※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
書評情報
- <読売新聞 2009年6月28日(日)>
関連リンク
- 「トピックス」 /news/topics/07447.html
この本の関連書
「スピヴァク、日本で語る」の画像:
「スピヴァク、日本で語る」の書籍情報:
- 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/200頁
- 定価 2,420円(本体2,200円)
- ISBN 978-4-622-07447-2 C1010
- 2009年4月24日発行