みすず書房

ナノ・ハイプ狂騒 上

アメリカのナノテク戦略

NANO-HYPE

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 344頁
定価 4,180円 (本体:3,800円)
ISBN 978-4-622-07460-1
Cコード C0040
発行日 2009年6月17日
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ナノ・ハイプ狂騒 上

本書はナノテクノロジー・ブームを焚きつけた大言壮語含みのナノテク評(ナノ・ハイプ)と、その裏にある利害関係者それぞれの事情に光をあてる。
科学技術の進歩に誰もが無関心でいられない現代社会。そこではひんぱんにテクノロジーのブームが起きている。なかでも先進諸国を虜にしたナノ・ハイプは、ハードサイエンスにもとづく実質を含むだけに、莫大な国家予算を左右するものとなった。アメリカや日本、EUが数千億を投じたブームのさなか、誰も彼もが「ナノ」の看板を掲げ、不確実な未来を語った。
上巻では、テクノロジーの夢物語があらゆるメディアで語られるナノ・ハイプの様相を俯瞰する。やがて産・官・学の諸機関もこぞって未来に投資しはじめ、その資金の周りにさらに多くの利害関係者が生まれ、騒ぎを煽る流れが描かれる。
ハイプの象徴となったE・ドレクスラー氏をいったん迎え入れた科学界が、のちに彼の処遇に窮する様子は教訓的だ。ハイプは推進派にとっても諸刃の剣なのである。また上巻では、政府のイニシアティブとそれを可能にしたキーパーソンらの言動を追い、アメリカが国策としてテクノロジーを進めるプロセスが具体的に示される。

目次

まえがき (M・C・ロコ)
はじめに

第1章 誇大表現、誇張、ハイプの狂乱
可変要素としての誇張
誇張とグー
大衆文化におけるナノテクノロジー
ナノテクノロジーとメディア
学問の世界におけるナノテクノロジー
結論

第2章 ナノテクノロジーに関する憶測と批判
支持者
リチャード・P・ファインマン
K・エリック・ドレクスラー
前期——『機械』とグー
後期——『ナノシステム』と否定主義
ナノテクノロジー活動の方向性
批判者
専門的批判者
ジョージ・ホワイトサイズ(ハーバード大学)
リチャード・スモーリー(ライス大学)
大衆的批判者
ビル・ジョイ(サン・マイクロシステムズ)
ザック・ゴールドスミス(『エコロジスト』)
チャールズ皇太子殿下
結論

第3章 ナノテクノロジーにおける政府関係者
個人
ジョージ・アレン、ロン・ワイデン(米国上院)
ニール・レイン(全米科学財団→クリントン政権→ライス大学)
ミハイル(マイク)・ロコ(米国国家科学技術会議ナノスケール科学工学技術小委員会)
トマス・カリル(元クリントン大統領顧問)
フィリップ・ボンド(米国商務省)
政府系科学振興団体
全米科学財団(NSF)
米国標準技術局(NIST)
先端技術プログラム(ATP)
行政府
行政省庁
エネルギー省(DOE)
国防総省(DOD)と国防高等研究計画局
その他の省庁および政府機関
結論

第4章 ナノテクノロジーにおける政府のイニシアティブ
イニシアティブと情報操作
全米ナノ加工ユーザーネットワーク(NNUN)
国家ナノテクノロジー・イニシアティブ(NNI)
ウィリアム・クリントン大統領
ジョージ・W・ブッシュ大統領
国家ナノテクノロジー基盤ネットワーク(NNIN)
21世紀ナノテクノロジー研究開発法
国際的な関係者
イギリスおよびEU(欧州連合)
日本
中国
結論

第5章 ナノテクノロジーを宣伝するための報告書
アメリカ
イギリス
経済・社会研究会議
英国王立協会他
英国下院
EU(欧州連合)
企業関連の利害関係者(ステークホルダー)
クレディ・スイス/ファースト・ボストン
『フォーブス/ウルフ・ナノテク・レポート』
スイス再保険会社
結論

第6章 ナノサイエンスの応用
計器および装置
製造および材料
農業および食物生産
エレクトロニクスおよびコンピューティング
ヘルスケア
エネルギー
贅沢品
結論

原注
略称リスト

『ナノ・ハイプ狂騒』参考文献リスト

書評情報

吉岡斉(九州大学教授)
日本経済新聞2009年8月23日(日)
尾関章(朝日新聞論説副主幹)
朝日新聞2009年8月30日(日)
吉澤剛(東京大学公共政策大学院)
科学2009年11月号
水谷工
読売新聞2010年4月10日