トランスレーション・スタディーズ
判型 | A5判 |
---|---|
頁数 | 312頁 |
定価 | 5,280円 (本体:4,800円) |
ISBN | 978-4-622-07634-6 |
Cコード | C1010 |
発行日 | 2011年10月13日 |
判型 | A5判 |
---|---|
頁数 | 312頁 |
定価 | 5,280円 (本体:4,800円) |
ISBN | 978-4-622-07634-6 |
Cコード | C1010 |
発行日 | 2011年10月13日 |
他者をいかに理解するのか。翻訳の理論と実践はどのようにして統合可能か。1970年代西欧に生まれ、80年代に大きく発展し、領域横断性・現代性のきわだつ「トランスレーション・スタディーズ」。その全景をスケールごと受けとめ、日本での真に豊かな展開の行方をもとめて、この清新な論集は編まれている。
近世近代日本の異文化接触、世界文学としての日本文学、文化翻訳と日系カナダのディアスポラ文学・ゲーム翻訳・アイヌの口頭伝承、グローバル化に緊急の対応を要する法廷通訳・医療通訳などコミュニティ通訳まで4章11論考(各章解説=水野的・西成彦・渡辺公三・水野真木子)に、劈頭を飾るのは先駆的研究者ヘルマンスの〈読み手との共感関係を確立しようと発話する主体としての翻訳者〉論、掉尾は国際舞台で研究をリードする若林ジュディの、建設的提言にみちた論考で締めくくられる。
序に編者がいう。「心を惹かれるのはその学際性であり、翻訳に携わる研究者や実践者たちがクロスカルチュラルに協調し実社会に貢献し得る可能性にある。小さな枠組みや組織にとらわれない学際的で横断的な学問としてのトランスレーション・スタディーズが日本に根付くことを心から願い本書にたくしたい」。
序 佐藤=ロスベアグ・ナナ
翻訳者、声と価値
ヘルマンス・テオ〔翻訳 佐藤=ロスベアグ・ナナ〕
第一章 江戸から大正期までの翻訳と翻訳者 〔解説 水野的〕
白話から読本まで——岡島冠山の軌跡
岡山恵美子
福沢諭吉の西洋思想の翻訳と受容——「ポストコロニアル」を視座に
内山明子
明治・大正期の翻訳規範と日本近代文学の成立
水野的
第二章 世界文学としての日本文学 〔解説 西成彦〕
川端康成と村上春樹の翻訳に見られる文化的アイデンティティの構築——フランス型翻訳論の視座を超えて
坂井セシル
「世界文学」に応ずる日本文学——プリ・トランスレーションなどの戦術について
日地谷=キルシュネライト・イルメラ〔翻訳 湊圭史〕
翻訳とアジア・コスモポリタニズムの文化的消費——中国語圏における村上春樹
クリーマン・阮・フェイ〔翻訳 西成彦・岡田清鷹〕
第三章 文化の翻訳/実践(プラグマティク)としての翻訳 〔解説 渡辺公三〕
移動する文脈における日本語——日系カナダ人の日本語から日本の日本語への翻訳
カレン・ベヴァリー〔翻訳 山崎麗子〕
日本のテレビゲームの創造翻訳(トランスクリエーション)——ゲーム翻訳と日本におけるトランスレーション・スタディーズの一方向性
オヘイガン統子〔翻訳 マコーマック・ノア〕
文化を厚く翻訳する——知里真志保とアイヌの口頭伝承訳
佐藤=ロスベアグ・ナナ
第四章 コミュニティ通訳 〔解説 水野真木子〕
日本におけるコミュニティ通訳の現状と課題
水野真木子
日本の法廷における少数言語話者被疑者公判と言語等価性維持の課題
毛利雅子
*
日本におけるトランスレーション・スタディーズの位置づけ——より広い視点から
若林ジュディ〔翻訳 高田アミック裕子〕
編者あとがき
執筆者紹介