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自然と権力

環境の世界史

NATUR UND MACHT

Eine Weltgeschichte der Umwelt


原子力、気候変動、食の不安、生殖のテクノロジー…。現在、いたるところで環境が政治の課題となり、人間の自然との関わりが権力の行使と結びついている。だが、自然と権力の結びつきは20世紀後半に初めて成立したのではない。本書は多様な地域と時代をめぐり、グローバルな構造とローカルな特異性を照らし合わせながら、自然と権力の関係の歴史的展開を論じる。人間と自然のハイブリッドな諸結合の組織化、解体の過程を緻密に描き出し、環境への眼差を一新する環境史の試みである。
本書には、日本の環境史を論じた書き下ろしの一節を加え、さらに日本語版への序文とあとがき(「フクシマの事故の後に考えたこと、そしていくつかの個人的告白」)が寄稿された。ドイツを代表する環境史家の主著、遂に待望の邦訳なる。上質な思考と史的研究の該博さに裏づけられたスケールの大きな世界観で、環境を考える際には、まず参照したい重要な一書である。


目次


日本語版への序言――二度の日本旅行を終えての問い
ドイツ語版への序言

第 1 章 環境史を熟考する
1 歴史的環境研究における視野狭窄と袋小路
2 悪循環の単調さと解決策の迷宮
  付論 リービヒ理論――環境史の基礎にある排水溝問題
3 時間の深みへ、そして自然理想の謎めいた再生力
4 樹木かヒツジか――環境史における価値判断の問題
5 歴史的説明としての生態学――マヤ文化の崩壊からアイルランドの大飢饉まで
6 未知の大地――環境史は秘められた歴史か、それとも周知の歴史か

第 2 章 自給自足と暗黙知の生態学――人間と自然の原初的共生関係
1 最初に火があった――世界中に広がる焼畑農業と環境史における放火癖
2 人間と動物――狩猟と飼いならし
3 庭と果樹
4 農民と牧人
5 「共有地の悲劇」と苗芝の災厄――前近代農業は「無意識の地力酷使」だったのか
6 母なる大地と天にある父――宗教の生態学について

第 3 章 水、森林、権力
1 水利工事、支配、そして生態学的連鎖反応
2 エジプトとメソポタミア――原型的な対比
3 灌漑された段々畑――社会的・生態学的小単位農耕
4 模範像そして恐怖像としての中国
5 日本という選択肢
6 狭小な空間における水文化――ヴェネツィアとオランダ
7 マラリア、灌漑、森林伐採――自然の復讐、そして生態学的蓄えの庇護者としての風土病
8 地中海地域の森林伐採と「生態学的自殺行為」は見せかけの問題か――自然と調和した浸食作用と誤解を生みやすい歴史化について
9 ヨーロッパにおける森と支配――開墾運動から森林規制法の時代まで
10 初期的危機意識の定点――都市と鉱山業

第 4 章 環境史における分水嶺としてのコロニアリズム
1 モンゴル帝国と「微生物による世界の統一」
2 海外コロニアリズムの生態学的ダイナミズム
3 グローバルな眼差しの成立――近代的環境意識の植民地的・島嶼的起源
4 インドの環境史における植民地的、ポスト植民地的転換点
5 ヤンキー・エコロジーとムシク・エコロジー
6 環境史におけるヨーロッパの特殊な道という問題 ――コロニアリズムの植民地権力への反作用
 
第 5 章 自然の限界にて
1 最後の蓄えへの突進
2 「堆肥あるところにキリストあり」――休閑地から「堆肥崇拝」と農業の政治化へ
3 木材不足の警鐘、植林運動、そして生態学的森林弁護論の成立
4 「甘く聖なる自然」――近代の自然宗教の多義的な展開
5 自然と国民――保護されるべき自然の具体化の途上で
6 最初の工業的環境危機と近代的危機管理の基本形の成立

第 6 章 グローバル化の迷宮のなかで
1 環境史の最も深い転換点――失敗に終わった世界のアメリカ化
2 血と大地――自給自足主義の錯乱
3 環境への憂慮の根底にあるもの――原子力の黙示録と癌の不安
4 環境運動の科学的、精神的、物質的起源
5 ネパール、ブータン、そして他の頂上からの眺め――ツーリズム、開発援助、宇宙飛行から見る環境問題
6 環境政策における権力と不確実性の諸問題

終章 政治的議論における環境史の役割

日本語版へのあとがき――フクシマの事故の後に考えたこと、そしていくつかの個人的告白
訳者あとがき
原註
人名索引
事項索引


著訳者略歴

ヨアヒム・ラートカウ
Joachim Radkau

ドイツの歴史家。1943年生まれ。ミュンスター、ベルリン自由大学、ハンブルクの各大学で歴史学を修める。著名なドイツ近現代史家フリッツ・フィッシャー(ハンブルク)のもとで1970年に博士号取得。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
海老根剛
えびね・たけし

1971年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。大阪市立大学大学院文学研究科表現文化学専修准教授。専門は20世紀ドイツ文化研究・映像論。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
森田直子
もりた・なおこ

1971年岡山県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学、ドイツ・ビーレフェルト大学 歴史・哲学・神学部で博士号取得。立正大学兼任講師。専門はドイツ近代史。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

訳者からひとこと

このたびヨアヒム・ラートカウの主著を日本の読者のみなさんに紹介することができて、とても嬉しく思っています。ラートカウは、おそらく、いまドイツで最もユニークな仕事をしている歴史家の一人だと言えるでしょう。 ...続きを読む »

書評情報

金森修<図書新聞「2012年下半期読書アンケート」 2012年12月22日>
小倉孝誠(フランス文学・文化史)
<図書新聞「2012年下半期読書アンケート」 2012年12月22日>

関連リンク

この本の関連書


「自然と権力」の画像:

自然と権力

「自然と権力」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/592頁
定価 7,776円(本体7,200円)
ISBN 978-4-622-07669-8 C1010
2012年7月9日発行

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