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量子論が試されるとき

画期的な実験で基本原理の未解決問題に挑む

THE QUANTUM CHALLENGE

Modern Research on the Foundation of Quantum Mechanics, Second edition


量子力学の諸原理が内包する不思議は、ながらく人知を超えた問題、あるいは純粋に解釈の問題として扱われていた。しかし現代の物理学者たちは高度な技術と創造性を駆使した実験によって、それらの難問を科学の俎上に載せ、本質に肉迫している。本書はそうした、現代量子物理学の新局面を開いた実験を取り上げ、現象の機序を解く理論と合わせてリアルに体感させる。波と粒子の二重性、相補性、非局所性、量子のからみあい、そして量子情報といった最近のテーマまで、幅広くカバーしている。
いずれもファンタスティックとしかいいようのない実験の数々が、明快に、かつ必要十分な具体性をもって紹介される。量子論に予備的な知識のある読者にとっても、かつてない手ごたえとともに、ミクロの世界への驚きと好奇心が呼び覚まされる読書体験となるだろう。一切の数学的表現を避けた一般書と、数学的表現に大半を委ねた専門書との間にある、大きなギャップを埋める試みとしても考えぬかれている。
ボーアをさえ「数学的な方法ですら役に立たない。自然が実際にどうやって矛盾を回避しているのかということをまずは理解したいのだ」と困惑させた量子論の世界観が、いまや私たちの日常の一部になりつつある。量子力学を学んでも物理現象として実感しがたいという多くの学習者の悩みにも、本書は特効薬となるだろう。


目次


序文
謝辞

プロローグ

第一章 物質波
1-1 実験
1-2 第二の実験
1-3 局所性
1-4 電子以外の粒子
中性子/原子/ボーズ・アインシュタイン凝縮/実験
1-5 二重スリット干渉の量子論
1-6 量子力学的説明への批判

第二章 光子
2-1 光子は存在するか
検出と光の量子/光電効果/非同時性/ハンブリー=ブラウンとトゥイスの実験/ついに光子/本節の終わりに
2-2 光子一つの波と粒子の二重性
波と粒子の二重性の謎/遅延選択/コメント

第三章 不確定性原理
3-1 フリーガーとマンデルの実験
二つのレーザー、一つの光子/ハイゼンベルクの不確定性原理/フリーガーとマンデルの実験における不確定性
3-2 不確定性原理の反省#
量子論的不確定性と古典論的無知/不確定性原理の解釈/不確定性原理と因果関係/不確定性原理と自然現象の記述
3-3 不確定性原理の影響
原子/原子核/軌跡
3-4 エネルギー‐時間の不確定性関係
系の平均的性質/寿命と線幅/時間と周波数の基準/因果関係についてもう一考──不確定性原理と時間のあいまいさ/エネルギー‐時間の不確定性関係の起源/コメント
3-5 スクイズド光と重力放射の検出
重力放射/簡単な調和振動子のスクイズド状態/光のスクイズド状態
3-6 量子非破壊測定
反動と重力放射の検出/光子一つの非破壊観測

第四章 相補性
4-1 ボーアの相補性の発見
1927年コモにて
4-2 相補性へのアインシュタインの攻撃
ソルベイ会議──経路情報と干渉の相補性/エネルギー‐時間の不確定性関係における相補性
4-3 新たなパラダイム──情報
量子ビート/量子ビートの理論──相補性/量子ビートにおける直交性と情報の役割/部分的情報
4-4 相補性は不確定性関係によって課されるのか
実験/アハロノフ-ボーム効果/干渉実験における運動量キック/量子力学的運動量移動
4-5 最後に

第五章 EPRパラドクスとベルの定理
5-1 EPRのパラドクス
EPRの議論/局所性/実在性と隠れた変数
5-2 BKS定理とコンテクスチュアリティ
BKSの証明の概略
5-3 隠れた変数理論
隠れた変数理論の初歩的な例
5-4 ベルの定理
ベルの定理の証明/マーミンの「局所実在性マシン」/考察

第六章 ベルの不等式をテストする──からみあい状態
6-1 ベルの不等式のテスト
初期の研究/二つの光子のからみあい状態/直線偏光/アスペの実験/コメント
6-2 ボームの非局所的隠れた変数理論
6-3 EPR相関のミステリー
6-4 量子的非局所性は相対性原理を破るか
6-5 量子的非局所性──新しい発生源と新しい実験
6-6 グリーンバーガー-ホーン-ツァイリンガーの定理
量子力学的解析/局所的実在の仮定に基づく解析/実験的検証/コメント
6-7 量子的非局所性に関して

第七章 シュレーディンガーの猫
7-1 猫のパラドクスとは何か
7-2 重ね合わせと混合──猫のパラドクスのより専門的な表現
7-3 重ね合わせと混合の違いをさらに議論する──スピン
7-4 大きなスケールの世界ではなぜ量子的ふるまいが観測されないか
干渉/不確定性原理/量子トンネリング
7-5 デコヒーレンス
7-6 デコヒーレンスを観察する
7-7 マクロな量子的ふるまいを実験室で実現する
マクロな量子的ふるまいの存在条件/マクロ量子トンネル──SQUID/マクロ量子コヒーレンス/ミクロな類似物

第八章 測定
8-1 観測問題
波動関数の収縮/波動関数の収縮はシュレーディンガー方程式で記述できるか/測定の量子論──無限後退/無限後退の終わり──射影仮説
8-2 量子力学における測定の能動性
混合と重ね合わせ/遷移する原子が放出する光子はどのような状態にあるか/量子ゼノン効果
8-3 観測問題を解く試み
ミクロな検出器とマクロな検出器──デコヒーレンス/デコヒーレンスは観測問題を解決するか/デコヒーレンスは取り消すことができる/コヒーレンスは移動させることができる──量子消しゴム/コメント

第九章 量子情報と量子計算
9-1 ビットと量子ビット
9-2 量子暗号
一粒子の重ね合わせ状態を用いた量子鍵配送/からみあいを使った量子鍵配送
9-3 量子テレポーテーション
量子情報は読めない/量子テレポーテーション/量子テレポーテーションの実験による実現/コメント
9-4 量子計算──ドイチュ‐ジョサ・アルゴリズム
たとえ話/ドイチュ‐ジョサ問題/量子レジスタ上の論理演算/ドイチュ‐ジョサ・アルゴリズム/論理演算とUf/量子コンピュータの簡単なモデル/NOT演算/現実の量子コンピュータ
9-5 量子マシンについて

エピローグ

訳者あとがき

参考文献
補遺 学生実験のための参考文献
索引


著訳者略歴

ジョージ・グリーンスタイン
George Greenstein

1940年生まれ。1977年よりアマースト大学天文学准教授、1983年より同教授、1993年より同Sidney Dillon Professorとなり2012年に退官、現在に至る。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
アーサー・G・ザイアンツ
Arthur G. Zajonc

コロラド大学、アメリカ規格基準局、アマースト大学での研究職を経て1984年よりアマースト大学准教授、1991年より同教授、2006年よりAndrew W. Mellon Professor(2011年に退官後は、同Professor Emeritus)。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
森弘之
もり・ひろゆき

首都大学東京 理工学研究科物理学専攻 准教授。専門は物性理論、とくに低次元量子系の輸送現象・統計力学的性質に関する解析的及び数値的研究。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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量子論が試されるとき

「量子論が試されるとき」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/464頁
定価 4,968円(本体4,600円)
ISBN 978-4-622-07871-5 C0042
2014年11月25日発行

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