みすず書房

若き日の日記【新装版】

判型 四六判
頁数 370頁
定価 3,520円 (本体:3,200円)
ISBN 978-4-622-07886-9
Cコード C0095
発行日 2014年10月10日
備考 現在品切
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若き日の日記【新装版】

「詩を読んでよろこびを覚えるのは、表現を求めて得られなかった混沌の一部がかくして形を得て、明るみに生み出され解放されるからである。混沌からは如何なるものも生れ得る。しかし生れたものは、新しいものであって同時に万人に通用し得るものでなくては人間世界に於て価値はない。……そのためにも、私が医学を選んだのは正しい。どこか客観的流通性のあるものに自分を縛り付けることは極めて必要なことだ。」(1945年5月15日)

神谷美恵子(1914-1979)の医学修行時代から東京大学精神科入局初期の日記。1942年4月から1945年12月まで、戦時下と敗戦直後の激動のなか、「うつわの歌」などの詩、および文学の創作への思いと、その後の長島愛生園での診療にいたる医学へのこころざしについて、相克しながらも高めあう可能性への模索が書きとめられている。また、「ひとに奉仕したい自分」と「自己主張を叫びつづける自分」、書物を通じての精神世界への志向、人間関係の細やかな描写など、「切れば血の出るような文章を書きたい」という著者のことばそのままに、内面世界をぎりぎりのところまで映し出す。『生きがいについて』(1966年刊)につながる思索もうかがえ、最晩年の「スイスものがたり」「ペンドル・ヒル学寮の話」執筆を始めたことも記されている。「見たところは御所人形のようで、なかは生れたばかりの野うさぎのよう」な著者の魂の躍動と確かな知性から、いきいきとした姿が浮びあがる日記を新装版でお届けする。

[初版1984年12月発行]

目次

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あとがき  神谷宣郎

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