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ロラン・バルト 喪の日記【新装版】

JOURNAL DE DEUIL

26 Octobre 1977-15 septembre 1979


「1978年8月18日
彼女が臥せっていて、そこで亡くなり、いまはわたしが寝起きをしている部屋のその場所。彼女のベッドの頭部をくっつけてあった壁に、イコンを置いた――信仰からではない――。そこのテーブルの上には、いつも花をかざってある。それゆえに、もう旅をしたくなくなっている。そこにいられるように、けっして花をしおれさせたりしないように、と。」

最愛の母アンリエットは1977年10月25日に亡くなる。その死は、たんなる悲しみをこえた絶望的な思いをもたらし、残酷な喪のなかで、バルトはカードに日記を書きはじめた。二年近くのあいだに書かれたカードは320枚、バルト自身によって五つに分けられ『喪の日記』と名づけられた。
とぎれとぎれの言葉が、すこしずつかたちをなして、ひとつの作品の輪郭をえがきはじめるのが日記からかいまみられる。そうして、母の写真をめぐる作品『明るい部屋』が生まれたのだった。
『喪の日記』は、最晩年のバルトがのこした苦悩の刻跡であり、愛するひとを失った者が「新たな生」をはじめようとする懸命の物語である。そこから浮かびあがってくるのは、言葉で生かされている者が言葉にすがって立ち上がろうとする静やかなすがたなのである。

[初版2009年12月22日発行]


目次


喪の日記 1977年10月26日-1978年6月21日
日記のつづき 1978年6月24日-1978年10月25日
(新たなつづき) 1978年10月26日-1979年9月15日
日付のない断章
マムについてのメモ
 
訳註・解説


著訳者略歴

ロラン・バルト
Roland Barthes

1915年生まれ。フランスの批評家・思想家。1953年に『零度のエクリチュール』を出版して以来、現代思想にかぎりない影響を与えつづけた。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
石川美子
いしかわ・よしこ

1980年、京都大学文学部卒業。東京大学人文科学研究科博士課程を経て、1992年、パリ第VII大学で博士号取得。フランス文学専攻。現在、明治学院大学文学部教授。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

ロラン・バルト生誕100年

ロラン・バルトが遺したこの『喪の日記』は、没後30年に初公刊された書です。このたび生誕100年にさいし新装復刊いたします。

この本の関連書


「ロラン・バルト 喪の日記【新装版】」の画像:

ロラン・バルト 喪の日記【新装版】

「ロラン・バルト 喪の日記【新装版】」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/304頁
定価 3,888円(本体3,600円)
ISBN 978-4-622-07977-4 C1010
2015年12月4日発行

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