みすず書房

災害の襲うとき【新装版】

カタストロフィの精神医学

WHEN DISASTER STRIKES

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 512頁
定価 5,280円 (本体:4,800円)
ISBN 978-4-622-07994-1
Cコード C1036
発行日 2016年4月 8日
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災害の襲うとき【新装版】

「強度のストレスという条件のなかで人間がどのように反応するか、またそのようなストレスを受けている個人、家族、社会をどうすればもっとうまく救済できるかについて、より多くのことを学びたい者は、ぜひこの本を読むべきである。(J・ボウルピー、タヴィストック人間関係研究所)

自動車事故から台風や地震、火災、さらに放射能汚染や環境破壊まで、現代人はつねに災害の脅威にさらされている。本書は詳細なデータをもとに、災害の本質、死と生存、立ち退きと再定着など、災害の諸相をくまなく考察している。とりわけ本書の特色は、災害の心理学的な検討だけにとどまらず、災害時の恐ろしい体験をした人々が深刻な心の傷を負うこと、さらに救援に当たる人々までが「隠れた被害者」として精神的打撃を受けることを明らかにし、その対処法を示した点にある。災害のもたらす精神的後遺症を分析した本書は、災害の研究・対策に新しい視点を導きいれた。誰もが「災害」の立会い人である現代において、本書は何びとにも読まるべき書物といえよう。また被災者のケアに当たる精神科、心理相談関係者にとっては必読の書であろう。著者は現在、オーストラリア・クイーンズランド大学精神医学科主任教授、国立ブリスベーン病院精神科医長である。
【初版1989年1月、新装版1995年2月、新装版2016年4月】

目次

日本の読者へのメッセージ(1988年10月)
はじめに

I 災害の体験
1 災害の本質
災害の定義/災害の範囲/災害の類型/災害の伝承/災害と地域共同社会/災害の疫学/災害の精神的問題点/災害の脅威と心傷/災害からの立ち直り/災害の人間的様相

2 災害の予期
危険性の判断/災害の可能性/備えの心構え/災害サブカルチャー/災害のイメージと意識/警告と対応/個人と家族の対応/興奮状態/警告への対応不全/警告と待機/個人的な災難の予期/災害が迫る時/前兆と警告の回顧/不意打ちの災害

3 衝撃と余波
ショック状態/衝撃時の感情体験/衝撃時の行動/衝撃時の反応と行動の意味/衝撃の持続時間/生存への対処/衝撃はいつ終わるか/衝撃の直後/個人的な災難の衝撃/まとめ

4 死と生存
個人的な接死体験/心的負傷後の反応/心的負傷後のストレス障害(PTSD)/死傷者との遭遇/生き残ることの意味/状況の克服と対処/克服のための行動/災害と生死の関係/個人的な災難の生死/まとめ

5 喪失と悲嘆
愛する者の死/近親死への反応/死に別れ症候群/個人的な死別/住居の喪失/地域社会の喪失/仕事と財産の喪失/精神的な喪失/喪失と悲嘆への対処

6 立ち退き・仮住まい・再定着
被災地からの立ち退き/避難の場所/立ち退きにともなうストレス要因/立ち退き・転任を迫る災害/難民の問題/新生活への対処

7 子供・老人・家族
災害と子供/死と危険と子供/災害と家族/災害と老人

II 被災者の救済
8 精神衛生と適応
災害ストレス要因への反応/被災後の病態のパターンと程度/災害ストレス要因と病態の関係/災害後の社会病理/身体衛生面の障害/災害の影響に対する弱みと強み/災害と補償/青少年の病態/さまざまな災害形態/市民を巻き込む暴力災害/災害としての戦争

9 被災者と救援者
災害の被害者/被災者の形態/救援者/被災者と救援者の関係/救援者へのストレス要因/救援者の対処方法/個人的な災難の被害者と救援者

10 被災社会の精神衛生
苦しみと持てる力の認知/精神衛生のための相談業務/精神的な応急手当と優先処置方式/心の支えとカウンセリング/予防的な診断と要注意者の管理/障害の個別的処置/症候群の個別的処置/救援者への事後処置/精神衛生対策の実施/個人的な災難と精神衛生

11 災害と政治
社会システムの相違/地域社会の対応/外部の世界/被災社会の立ち直り——危機と軋轢/政治と政策/長期的な社会の変化/未来の巨大災害

結び——人間とカタストロフィ

付録 被災後の精神衛生に関する質問表

訳者あとがき
参考文献
事項索引
人名索引