みすず書房

「私たちが人間について知ることの出来たもっとも大切なことは、人間は孤独を超えることが出来るということである。人間に孤独を超えさせるものは何か。私は、それが愛だと思う」

孤独と絶望のなかで生きる人間を描きつづけた作家、田宮虎彦が、自らが愛した文学作品のさまざまな人生に肉迫し、彼らの「さまざまな愛のかたち」を浮かびあがらせていく異色の恋愛論。「スタインベックのエデンの東」「マッカラーズの心は孤独な狩人」「フローベールのボヴァリー夫人」など全11編。

「本書は、恋愛論でありながら、作品論であり作家論でもあるのだ。・・・多様な読み方が出来ることこそ、小説の持つ特権の一つであり、本書はそのことを教えてくれるのである」(北上次郎「解説」)

目次

スタインベックのエデンの東 1 ——愛の核となるもの——
スタインベックのエデンの東 2 ——愛の拒否と愛の飢餓——
モーパッサンのピエールとジャン ——女の場合と母の場合——
スタンダールのカストロの尼 ——真実の愛の重さ——
マッカラーズの心は孤独な猟人 ——黒人社会で——
サマセット・モームの人間の絆 ——愛、この不可解なもの——
フローベールのボヴァリー夫人 ——愛と女の運命——
サマセット・モームの雨 ——神の愛と人間の愛——
テネシー・ウイリアムズのガラスの動物園 ——愛の構造 1 孤独——
テネシー・ウイリアムズの夏と煙 ——愛の構造 2 二つの愛——
テネシー・ウイリアムズの欲望という名の電車 ——愛の構造 3 愛の破局——
あとがき
解説 北上次郎
                                 (挿画 米倉斉加年)