みすず書房

懐手して宇宙見物

大人の本棚

判型 四六判
頁数 296頁
定価 2,860円 (本体:2,600円)
ISBN 978-4-622-08070-1
Cコード C1395
発行日 2006年9月7日
備考 現在品切
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懐手して宇宙見物

本書ではあえて科学より文学味豊かな作品を多く選ぶことにした。幼い頃の思い出を感情を込めて語り、映画や絵画や俳句(連句)に蘊蓄を傾け、花や猫を愛ずる寅彦の別の一面を灸り出したかったためである……

これらの文章を読めば、今なぜ寺田寅彦なの? という疑問に素直に答えられるだろう。彼が生きた時代から70年以上経ったが、人の心の本質は変わっていないし、世事に関わる事象は(見かけは違っても)共通していることが発見できるからだ。むしろ、時代を超えて共有される心情が溢れていることに驚かれるのではないだろうか。池内了

目次

団栗
花物語
 昼顔/月見草/栗の花/凌霄花/芭蕉の花/野薔薇/常山の花/龍胆花/楝の花
小さな出来事
 蜂/簑虫
春六題
 活動写真/物質の中に瀰漫する生命

異郷
 ウェルダアの桜/ハルツの旅/アムステルダアム
浮世絵の曲線
解かれた象
路傍の草
 車上/草刈
備忘録
 仰臥漫録/涼味/線香花火/金米糖/調律師/猫の死/舞踊
青衣童女像
青磁のモンタージュ
映画の世界像
烏瓜の花と蛾
夏目漱石先生の追憶
藤の実
珈琲哲学序説
空想日録
 身長と寿命
猿の顔
耳と目
試験管
 音の世界/匂いの追憶
沓掛より
 草を覗く/盆踊と家鴨
思出草
俳諧瑣談
庭の追憶
藤棚の陰から
 ナンジャモンジャの樹/睡蓮/虞美人草/カラジウム/雀の喧嘩/百足/喇叭の音/振出し薬/金魚/野中兼山/野中の逸話
疑問と空想
 ほととぎすの啼声/九官鳥の口真似
鴫突き
追憶の冬夜
詩と官能
自由画稿
 腹の立つ元旦/冬夜の田園詩/蛆の効用/透明人間/視角

客観のコーヒー主観の新酒哉(池内了)

書評情報

読書の年輪(東北大学教養教育院発行)
2011年6月
「読書の年輪」講義案内(東北大学)
2012年3月