みすず書房

〈福沢のいわゆる「何ぞ事物を信ずるの軽々にして、亦之を疑ふの早急なる」という評論家の体質は一向にかわりませんね。それに、あるトピックについて熱風のように一つの方向性をもった(反動的であれ、自称革命的であれ)精神的潮流が形成されると、おどろくべきコンフォーミズムがインテリの世界をも支配する、という点でも、一体戦後日本は「一個独立の気象」においてどれだけ進歩したのか、むしろテレビ・週刊誌文化の画一性によってそうした傾向に拍車がかけられたのではないか、と疑われます〉(家永三郎宛 1969年8月29日)

戦後日本を代表する知識人が宛てた百数十人、千通近くの書簡(1940-1996)をここに公刊。家永三郎、木下順二、萩原延壽宛の膨大な書簡から、無名の市民への一通まで、それぞれの状況下で、丸山が世に伝えようとしたことの全貌を刻む。

第1巻は1940-1973年の171通。「津田左右吉宛 1940年6月21日」から広島応召中の手紙、60年安保、ハーバード、オックスフォード滞在、東京大学辞任後まで。戦後思想を一身に引き受けざるをえなかった時代の丸山の思索と人柄を示す。全5巻。

目次

1940-1950
津田左右吉/竹下由美子/家永三郎/南原繁/矢部貞治/岡義武/嘉治隆一/野口智子
1951-1955
高見順/青木やよひ/小尾俊人/木下順二/家永三郎/安光公太郎/掛川トミ子/高野耕一
1956-1960
掛川トミ子/松本三之介/木下順二/家永三郎/今村成和/安田武/今井清一/上原一郎/田口富久治/安光公太郎/宮田光雄
1961-1965
安東仁兵衛/都留重人/世良晃志郎/福田歓一/家永三郎/岡義武/松本三之介/安田武/掛川トミ子/今井壽一郎/鎮目恭夫/木下順二/安光公太郎/宮田光雄/中村智子/橋川文三/西田毅/世良晃志郎/高木博義
1966-1970
安光公太郎/村上利三郎/阪谷芳直/木下順二/内田智雄/家永三郎/高木博義/加藤一郎/岡義武/安田武/小尾俊人/今井壽一郎/福田歓一/松本三之介/宮田光雄/世良晃志郎/小田耕一郎/三谷太一郎/団藤重光/西田毅
1971-1973
岡義武/木下順二/高木博義/安田武/安光公太郎/家永三郎/熊野勝之/掛川トミ子/小田耕一郎/飯田十郎/北沢方邦/中村哲/青木やよひ/三谷太一郎/福田歓一/松沢弘陽/福田良子/阪谷芳直/中村智子/世良晃志郎/入江昭/西田毅/萩原延壽/小尾俊人/ヴォルフガング・シャモーニ/西田長壽