みすず書房

ロマネスクの誘惑

ロラン・バルト著作集 9

1975-1977

OEUVRES COMPLETES

判型 A5変型
頁数 328頁
定価 5,720円 (本体:5,200円)
ISBN 978-4-622-08119-7
Cコード C1310
発行日 2006年12月18日
備考 現在品切
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ロマネスクの誘惑

1970年代に入るとバルトは、「ロマネスク‐小説的なもの」の作家という新たな顔を見せるようになる。批評家としてではなく作家としてエクリチュールを考え、書く身体や快楽について語り、音楽や絵画をめぐる芸術論をすすんで発表するようになる。その傾向は70年代後半にさらに強まり、75-77年には「ロマネスク」と芸術論とがバルトの中心的な課題として鮮明な姿をみせてゆく。この時期に、もっとも長大な絵画論「ソール・スタインバーグ」が書かれ、「オペラ」をセミナーのテーマにする試みもなされたのだった。本巻に収められるのは、『彼自身によるロラン・バルト』から『恋愛のディスクール・断章』にいたるこの時期のテクストやインタビューである。自著の書評「バルトの三乗」、漫画版『O嬢の物語』への序文、「〈フィクション〉でない言説は存在しない」「サド‐パゾリーニ」、アヴェドンの写真集についてのエッセイ「かくのごとく」、そして「テンポの問題」など初訳の41篇は「小説」をみはるかす晩年のバルトを照らす出すだろう。