みすず書房

没後すでに四半世紀がたとうとしているのに、『生きがいについて』や『日記』など、あらゆる世代の人々から非常に幅広く、また非常に高い人気を得ている神谷美恵子。英文学から医学へ、さらには精神医学から病跡学へ、自らの信じる道を貫いた研究者としての迷いのない人生。またそれと表裏をなす、一人の女性として、また妻として、母として、日常の雑事を生き、多くの人々の共感を呼んだ生活者としての一生。読者の多くの要望に答えて、神谷美恵子の「人と生涯」が、はじめて、分かりやすくハンディなかたちにまとまった、ファン待望の一冊。

目次

詩:うつわの歌/らい者に/尼寺を出でて/病床の詩/訳詩 ハリール・ジブラーン「おお地球よ」 

講演録:フレッシュマンキャンプのために  神谷美恵子

アルバム 神谷美恵子
 幼年時代 1914-1920
 スイス時代 1923-1926
 帰国、女子医専入学まで 1926-1940
 女子医専入学、結婚まで 1941-1946
 人生の本番 1946-1979
  結婚、新しい生活へ/家族とともに/研究、執筆の日々/教師として/長島愛生園で/最後の日々

生きがいについて   中村桂子
神谷美恵子管見   鶴見俊輔
神谷美恵子先生との邂逅   高橋幸彦
神谷美恵子と 看護の心   川島みどり
思い出——学生時代の日記から   明石み代
先生を偲んで   江尻美穂子
思い出   近藤いね子
「存在」を追って—— 神谷美恵子とヴァージニア・ウルフ   早川敦子
晩年の日々   神谷永子
精神科医としての神谷美恵子さんについて   中井久夫
先生に捧ぐ   島田ひとし
神谷美恵子さんの思い出   加賀乙彦

コラム:身のまわりの彩り/ヴァジニア・ウルフの病跡/美恵子と音楽

神谷美恵子 年譜

書評情報

中沢明子(ライター)
25 ans(エディターズ・プライベート・レシピ)2011年6月号