みすず書房

ヒッチコック『裏窓』ミステリの映画学

理想の教室

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 160頁
定価 1,430円 (本体:1,300円)
ISBN 978-4-622-08303-0
Cコード C1398
発行日 2005年6月 9日
備考 現在品切
オンラインで購入
ヒッチコック『裏窓』ミステリの映画学

事件は無事解決、映画は大団円へ。いや、男は本当に妻を殺害したのでしょうか? 一本の作品を克明に「見る」こと、徹底的に分析することで浮かび上がる二重のミステリ。「ヒッチコック映画は、たとえて言えば、ブラックホールが口を開けているような映画です」。おどろくべきその「映画的冒険、その胆力、その果敢さ」——シネマ・スタディーズ最前線の真髄をお見せします。

目次

『裏窓』あらすじ

第1回 二重のミステリ
言い漏らされていること/代表作/裏窓とスクリーン/視覚をめぐる寓話/「危険な被写体」と「美しい被写体」/なぜ美女の求婚を拒絶するのか/車椅子のうえの観客/人形の家/不可視の部屋/影と照明/「殺人事件」の成立/観客の合意/あやまちを犯す主人公/当然の報い/作者の意図/客観的証拠の不在/ブラックホール/過剰解釈/埋められない空隙/エロスへの迂回路/女性の二面性/フェミニズム的読解 1/フェミニズム的読解 2

第2回 外見と内実の乖離
「婦人消失」の謎/視線を発見する視線/新妻と亡霊/習慣と空虚な内実/小宇宙の衝突/精神的麻痺/死の問題と生の問題/マリオネット=人間/間違えられた男/幻想の女性/実在しない内実/「間違えられた」まま終わること/特異体質/二重人格者から他者人格者へ/古典的ハリウッド映画の脱構築/名づけえぬ被写体/扉の向こう側/空虚に満たされた空間/深い水脈での通底/視覚の裏切り/「現実」の誤認/緑の光線/映画史の「ポスト古典期」

第3回 映画史のなかのヒッチコック
奇妙な愛の寓話/「ひとを愛すること」と「ひとを見ること」の関係/「わたしはあなたを愛しています」/拡大鏡と望遠鏡/クロースアップに呑み込まれる/視点編集と感情移入/望遠鏡はいかに意識を生みだしたか/切り返し/乗り物としての主人公/零度のショット/偽の接ぎ穂/切り返しの排除/眼中にないもの/褶曲運動