みすず書房

『銀河鉄道の夜』しあわせさがし

理想の教室

判型 四六判
頁数 144頁
定価 1,430円 (本体:1,300円)
ISBN 978-4-622-08309-2
Cコード C1398
発行日 2005年7月7日
備考 現在品切
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『銀河鉄道の夜』しあわせさがし

「僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」「うん。僕だってそうだ」カムパネルラの眼にはきれいな涙が浮かんでいました。「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう。」

不朽の少年教養小説『銀河鉄道の夜』のなかでは、「ほんとうのさいわい」をめぐってさまざまな問いが紡ぎ出されます。友だちとは? 愛とは? 自己犠牲とは? そして旅の終わりにジョバンニが目にしたものは?

天才ミヤザワケンジのグレートな「幸福論」。その魅力を縦横無尽に引き出します。

目次

テクスト——『銀河鉄道の夜』

第1回 神なき世界へ
賢治死後?に成立した『銀河鉄道の夜』/ブルカニロ博士の消滅/叙事詩から小説へ/貨幣の問題/宗教批判者ジョバンニ

第2回 友だちって何?
友だちを裏切ること/秘密の発生——個室の誕生/世界の始まりと原光景/親密さと言語——ジャーゴン/言語の抽象性/ふたりでいること

第3回 自己犠牲
自己犠牲者の群れ/よだかから蠍へ/負債としての自己犠牲/取り替え子/贈与と遺贈