みすず書房

中原中也 悲しみからはじまる

理想の教室

判型 四六判
頁数 160頁
定価 1,430円 (本体:1,300円)
ISBN 978-4-622-08311-5
Cコード C1392
発行日 2005年9月22日
備考 現在品切
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中原中也 悲しみからはじまる

生涯でたった2冊の詩集しか残さなかったとはいえ、「汚れつちまつた悲しみに……」ほか愛唱される詩篇はけっして少なくありません。そしてその多くが「悲しみ」に彩られています。

「生の原型」としての「少年時」。しかしそれは「行き道の分らなくなつた宝島の如きもの」であり、「少年時代から希望というものは消えてしまった、と詩のなかで考えたのが中原中也でした。現実にも、希望の喪失という不運は、中原の生涯にわたって何度も襲ってきます」。第一詩集『山羊の歌』の題名の背景にある「悲劇」の意味。第2詩集『在りし日の歌』に込められた、青春への別れと悲しみ。人はみずからの青春を救うことができるのか。

決定版『新編中原中也全集』編集の成果をたずさえて、現代の詩人が「肉弾で歌う」中也の詩の魅力、その「生成」の秘密に鋭く迫ります。

目次

第1回 噫、生きてゐた、私は生きてゐた!
「ノート小年時」/少年に希望はあるのか?/肉弾で歌うこと/ギロギロする目で

第2回 愛する、恋する、恋慕する
長谷川泰子という女性/富永太郎との出会い/うつむく青年/「朝の歌」/「追懐」の世界

第3回 悲しみからはじまる
「悲しみ」のテクスチャー/リフレインの奥にあるもの/「骨」/青空の下の子ども

使用テクスト——少年時(母は父を送り出すと、部屋に帰つて来て溜息をした)/少年時/秋の愁嘆/朝の歌/追懐/汚れつちまつた悲しみに……/雪が降つてゐる……/骨/春と赤ン坊