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理想の教室

カフカ『断食芸人』〈わたし〉のこと<品切>

著者
三原弟平



芸人にとって断食はしかたなかった。なぜなら「口にあう食べものを見つけることができなかったから」。『変身』のカフカによるこの短編をよく読んでみれば、そこにはラストメッセージとしての奇譚がくっきり浮かび上がる。不幸であることを書いて寓話になりきれない〈わたし〉の文学に、いまこそ私たちの世界が追いついた。


目次


テクスト――カフカ『断食芸人』

第1回 読解ゲーム
1節、断食芸人たちと、この断食芸人/檻とガラスの箱/2節、〈公衆〉/大衆と事情通/監視人、その二つのタイプ/物語の動力は齟齬/食欲と睡眠欲/3節、真の齟齬、真の不満/四〇日/興行のフィナーレ、千秋楽四〇日目の式次第/4節、後産の節/写真/1節、暗転/6節、〈ワラヒ〉と〈エミ〉/7節、徒党間の葛藤に身をふるわせる/子どもたちにとって断食とは何であったろう/生肉嫌悪/8節、感じとれないものに理解させることはできない/意味上の疑問/文法上の疑問/9節、ホーフマンスタール「チャンドス卿の手紙」/自然奇術/ガラスを喰う出版人/否定的な味覚への殉教/断食だけとなった断食のすがた/10節、豹のいる終わり方/自由と肉食

第2回 〈わたし〉の寓話
作品と作者/寓話になりそこなった寓話/アルキメデスの点/「つき刺さった矢が……」/リゾーム状に通じあっているところ/ふたりの女のエピソード/「断食芸人」の死の場面と、『審判』の最後/「自由」と猿たち

第3回 〈わたくし小説〉と〈私小説〉
私小説の伝統とカフカ/カフカとカサイ/「贋物」(1917)/「不幸であること」(1910)/自由で無拘束な文学的ジャンル/幽霊との対話


著訳者略歴

三原弟平
みはら・おとひら

1946年生まれ。京都大学教授。専門はドイツ文学。20世紀初頭のドイツ文学、とくにカフカ、ベンヤミンを中心に20年代、30年代の作家・思想家たちを問題にしている。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「カフカ『断食芸人』〈わたし〉のこと」の画像:

カフカ『断食芸人』〈わたし〉のこと

「カフカ『断食芸人』〈わたし〉のこと」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/160頁
定価 1,404円(本体1,300円)
ISBN 4-622-08315-9 C1398
2005年12月9日発行
<ただいま品切です>