みすず書房

カフカ『断食芸人』〈わたし〉のこと 電子書籍あり

理想の教室

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 160頁
定価 1,430円 (本体:1,300円)
ISBN 978-4-622-08315-3
Cコード C1398
発行日 2005年12月 9日
電子書籍配信開始日 2013年4月 1日
備考 現在品切
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カフカ『断食芸人』〈わたし〉のこと

芸人にとって断食はしかたなかった。なぜなら「口にあう食べものを見つけることができなかったから」。『変身』のカフカによるこの短編をよく読んでみれば、そこにはラストメッセージとしての奇譚がくっきり浮かび上がる。不幸であることを書いて寓話になりきれない〈わたし〉の文学に、いまこそ私たちの世界が追いついた。

目次

テクスト——カフカ『断食芸人』

第1回 読解ゲーム
1節、断食芸人たちと、この断食芸人/檻とガラスの箱/2節、〈公衆〉/大衆と事情通/監視人、その二つのタイプ/物語の動力は齟齬/食欲と睡眠欲/3節、真の齟齬、真の不満/四〇日/興行のフィナーレ、千秋楽四〇日目の式次第/4節、後産の節/写真/1節、暗転/6節、〈ワラヒ〉と〈エミ〉/7節、徒党間の葛藤に身をふるわせる/子どもたちにとって断食とは何であったろう/生肉嫌悪/8節、感じとれないものに理解させることはできない/意味上の疑問/文法上の疑問/9節、ホーフマンスタール「チャンドス卿の手紙」/自然奇術/ガラスを喰う出版人/否定的な味覚への殉教/断食だけとなった断食のすがた/10節、豹のいる終わり方/自由と肉食

第2回 〈わたし〉の寓話
作品と作者/寓話になりそこなった寓話/アルキメデスの点/「つき刺さった矢が……」/リゾーム状に通じあっているところ/ふたりの女のエピソード/「断食芸人」の死の場面と、『審判』の最後/「自由」と猿たち

第3回 〈わたくし小説〉と〈私小説〉
私小説の伝統とカフカ/カフカとカサイ/「贋物」(1917)/「不幸であること」(1910)/自由で無拘束な文学的ジャンル/幽霊との対話