みすず書房

パリ、病院医学の誕生

始まりの本

革命暦第三年から二月革命へ

MEDICINE AT THE PARIS HOSPITAL, 1794-1848

判型 四六変型判 タテ191mm×ヨコ130mm
頁数 384頁
定価 4,180円 (本体:3,800円)
ISBN 978-4-622-08360-3
Cコード C1322
発行日 2012年12月21日
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パリ、病院医学の誕生

「当時の医学は、私たち現代の「研究室医学」とはちがっていたし、また古代の「ベッドサイド医学」でもなかった。〔…〕この55年間には、その主要な要素にちなんで私たちが「病院医学」と名づけた、まったく特殊で独特な型の医学が起こったのである。〔…〕
病院を廃止しようとしたこの革命は、病院を改善し、医学の中心とした。公の医学教育を廃止しようとしたこの革命は、新しい非常に強力な医学教育を創造した。医学の廃止を夢みたこの革命は、医学の新時代を開いた。」
(本文より)

「解剖学のまなざしと臨床医学のまなざし、すなわち病理解剖学の屍体空間と臨床医学の病の時間とは、元来、地理と歴史の相違として、対立する構造をもっているからである。屍体空間と病の時間という異質なものが重なりあうことこそ、「臨床医学の誕生」の秘密であり、「病院医学の誕生」の秘密なのである。『パリ、病院医学の誕生』を『臨床医学の誕生』と重ねて「読む」意義は、そこにある。
(解説より)

いわゆるパリ臨床学派を描いてフーコー『臨床医学の誕生』と一対をなす。傑出した医学史家アッカークネヒトの画期的名著。

目次

まえがき
序文
第一章 哲学
第二章 病院
第三章 先駆者たち
第四章 学校
第五章 ピネルとビシャ
第六章 ブルセ
第七章 コルヴィザール、ベール、ラエンネク
第八章 折衷主義者
第九章 医学会と医学雑誌
第十章 袋小路
第十一章 治療
第十二章 外科
第十三章 衛生学
第十四章 専門分科
第十五章 政治的、医学的改革
第十六章 外国人学生と外国人医師
第十七章 文学と医学
後記

訳者あとがき
解説——「病院医学の誕生」の秘密の解読に向けて  (引田隆也)

略語一覧
原注
参考文献
事項索引
人名索引

編集者からひとこと

『パリ病院——1794-1848』の邦題で、思索社から1978年に出ていた名著がよみがえります。
表記などを見直し、若干の訳注、事項索引を加え、思索社版には収められていなかった「訳者あとがき」を新たにそえ、そして、政治思想の観点からフーコー『臨床医学の誕生』とあわせ読む、刺戟的な読みを案内する「解説」(引田隆也)を付しました。

川喜田愛郞の不朽の大著『近代医学の史的基盤』(上下、岩波書店)にも、
「パリ学派の沿革について見事な専書(モノグラフ)を近年公けにした史家アッカークネヒトは、その序論のなかでこの派の特質をいみじくも「病院医学」(Hospital medicine)と名づけ」(上、482頁)
「Ackerknechtのこの「パリ病院の医学、1794-1848」はこの領域に関する画期的な研究である」(上掲引用中に付された注19.14)
「幸いにわれわれはいま、長く医学史家たちの間にまとめて考究される手続きの欠けていたこのきわめて重要なエポックの諸問題を考える上に、前記アッカークネヒトの力作、および地の利をえてきわめて豊かで正確な史料に基づいたユアールの専書、さらには、構造主義哲学者で医学に深い造詣をもつミシェル・フーコーの洞察にとんだ著述「クリニックの誕生」などのすぐれた研究を知っている」(上、484頁)
などたびたびの言及があり、パリ学派に関する叙述はアッカークネヒトに大きく拠る旨が記されています。