下丸子文化集団とその時代
一九五〇年代サークル文化運動の光芒

判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 424頁 |
定価 | 4,180円 (本体:3,800円) |
ISBN | 978-4-622-08559-1 |
Cコード | C0036 |
発行日 | 2016年10月25日 |

判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 424頁 |
定価 | 4,180円 (本体:3,800円) |
ISBN | 978-4-622-08559-1 |
Cコード | C0036 |
発行日 | 2016年10月25日 |
1950年代、サークル文化運動が空前の盛り上がりをみせていた。無名の人びとが詩や小説を書き、ガリ版で刷り、集まっては語り合った。文化産業は未発達で、人びとは貧しかった。サークル文化運動は若い労働者のあいだで野火のように広まり、文学サークル、うたごえサークル、演劇サークルなど、全国各地に無数のサークルが誕生する。
そのなかでも光を放っていたのが、東京南部(大田区・品川区・港区)の「下丸子文化集団」である。町工場や軍需工場がひしめく下丸子で生まれた文化集団は、若者たちの表現を解放した。暮らしや社会への思い、朝鮮戦争下での反米抵抗などを詩にした『詩集下丸子』『石ツブテ』などの詩誌や、「原爆を許すまじ」などの歌を生み出し、全国に大きな影響を与える。
当時の文化集団は左翼政治の影響を色濃く受けており、人びとは時に党の方針に翻弄されながらも、生き生きとした表現を生み出し、やがては思想的に自立することになる。
わら半紙にガリ版の印刷物、その場限りの上演活動ゆえに、一大旋風を巻き起こしたサークル文化運動はわずかな痕跡しか残していない。本書はそれらの資料の丹念な読み込みと、当事者への膨大なインタビューから、サークル文化運動の実像をはじめて明らかにし、「もう一つの戦後史」を鮮やかに浮かび上がらせる。
はじめに
第一章 工場街に詩があった
第二章 下丸子文化集団とその時代——五〇年代東京南部サークル運動研究序説
第三章 無数の「解放区」が作り出したもうひとつの地図——東京南部の「工作者」たち
補章 サークル運動の記憶と資料はいかに伝えられたか
第四章 全国誌と地域サークル——東京南部から見た『人民文学』
第五章 東京南部における創作歌運動——「原爆を許すまじ」と「南部作詞作曲の会」
第六章 工作者・江島寛
第七章 東京南部から東アジアを想像した工作者——江島寛再論
註
東京南部文化運動年表
あとがき