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情報倫理

技術・プライバシー・著作権

著者
大谷卓史

情報倫理学とは、情報通信社会における倫理的諸問題に対処するための研究である。セキュリティ、プライバシー、知的財産権、表現の自由などをめぐる、きわめて現代的な重要問題を分析し解く手がかりを与える。本書はその情報倫理学のスペシャリストである著者の力作だ。人文社会科学・哲学系と理工学系の両者に通じた著者の強みが活かされた好著。
     *
「情報倫理学は、情報社会を理解し、そこでよりよく生きるために役立つ学問であるべきと考える。筆者のバックグラウンドは、哲学・倫理学および科学技術史ということになろうが、本書において見るように、情報社会を理解しようとするにあたっては、相当に雑多な分野横断的な現在使える知識はすべて使い、体系化を行うというよりも、よりジャーナリスティックに、問題に即して考察を進めるという姿勢であたってきた。……
この執筆を行ってきた間にも、新しい技術が次々と登場し、さまざまな事件が起こったうえ、技術の発展や普及が急速に進むとともに、社会や経済、生活、人間の交際などにもいろいろな変化が起きることから、なかなか体系的記述は難しいということもあった。そのため、問題に対する確かな結論を示すよりも、むしろ、情報社会におけるさまざまな事件や問題・話題を取り上げて、情報社会におけるさまざまな問題の所在を明らかにしたうえで、それらの問題が、私たちが価値あるものとみなすさまざまな事柄や生活、生き方などにどう関係するかを示すこととした。
情報社会を分析するさまざまな視座・分野は存在するが、必ずしも方法論が完成しているわけではない。それゆえ、使えそうなものであれば、雑多な分野の知識や知見に頼ることとなった。少なくとも本書を通じて多面的な情報社会の姿を浮き上がらせることができたならば、目的の一部は達せられたものと思われる」
(「あとがき」より)


目次


第一章 揺らぐ公と私
1-1 顔がみたい
1-2 「正義のリスト」
1-3 忘却の利益と権利
1-4 「出産を支持しますか?」
1-5 子役と評判
1-6 リアリティ番組とプライバシー
1-7 塵芥とプライバシー
1-8 マルウェア対策の公と私
1-9 キンドルの『1984』

第二章 匿名性と個人情報
2-1 匿名と「言論の自由市場」
2-2 伝承の匿名空間
2-3 匿名性の信憑効果
2-4 実名・匿名論争 1
2-5 実名・匿名論争 2
2-6 マイナンバー
2-7 iCloud流出
2-8 個人情報の危害行為
2-9 2ちゃんねる個人情報流出
2-10 クーポンと個人情報
2-11 人間関係構築・維持とプライバシー
2-12 匿名加工はどこまで必要か

第三章 ネットと世情
3-1 スマホと退屈
3-2 九時以降スマホ禁止
3-3 LINEの「声」
3-4 ネット選挙解禁
3-5 アフィブログ死亡
3-6 怪獣とハマコーとツイッター
3-7 バンクーバーの余波、ネットへ
3-8 ドローン少年
3-9 IPアドレスの「精度」
3-10 ICTと犯罪報道

第四章 書籍と図書館の近未来
4-1 「図書館戦争」
4-2 でたらめな書棚
4-3 電子書籍端末
4-4 未来の教科書
4-5 アイパッドの密やかな衝撃
4-6 電子出版の「物質性」
4-7 グラドルと人文書の空間
4-8 佐藤秀峰問題
4-9 電子マンガの未来
4-10 グーグル・ブック検索 1
4-11 グーグル・ブック検索 2
4-12 電子図書館の「公」と「私」

第五章 著作権の哲学
5-1 インセンティブと市場経済
5-2 情報「所有権」の哲学的批判
5-3 著作権の制限の倫理的正当化
5-4 著作者人格権の倫理的正当化
5-5 創造のインセンティブは経済的利益だけか?
5-6 金銭的インセンティブ論から市場秩序維持機能論へ
5-7 著作物の生態系における著作者の権利の機能
5-8 ウィニー開発者判決を読む
5-9 著作権法改正とロビイング
5-10 視聴かダウンロードか
5-11 グレーゾーン
5-12 著作権の哲学から近未来を見る

第六章 メディアと現実
6-1 疑似環境とネット
6-2 「Tsudaる」の限界再考
6-3 人間交際のプラットフォーム
6-4 「現実」と共通経験
6-5 流言蜚語2.0
6-6 秘密と公開
6-7 台風とミクロなメディア
6-8 中世都市と地球村

第七章 人間の拡張と代替
7-1 セグウェイのメディア論
7-2 犯罪予測システム
7-3 パーソナルロボット
7-4 ネット・記憶・思考 1
7-5 ネット・記憶・思考 2
7-6 万物のグーグル化
7-7 スコア化した社会
7-8 自動運転死亡事故
7-9 限界費用ゼロ社会
7-10 「ガラスの檻」の実存

第八章 国家と公共性のゆくえ
8-1 破綻国家の「権利保護協会」
8-2 情報と祝祭的暴力
8-3 サイバー戦争の時代
8-4 電子コインの利と理
8-5 タックスヘイブンと情報の自由
8-6 炎上ポリティクス
8-7 マタイ効果とグーグル 1
8-8 マタイ効果とグーグル 2
8-9 グーグルと政治
8-10 インターネットの公共性

あとがき
参考文献
索引


著訳者略歴

大谷卓史
おおたに・たくし

1967年生まれ。吉備国際大学アニメーション文化学部准教授。専門は情報倫理学、科学技術史。編集者、サイエンスライター、東京大学大学院工学系研究科博士課程を経て現職。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

書評情報

<2017年6月8日:「日経コンピュータ」>

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情報倫理

「情報倫理」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/544頁
定価 5,940円(本体5,500円)
ISBN 978-4-622-08562-1 C1036
2017年5月1日発行

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