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一枚の切符

あるハンセン病者のいのちの綴り方

著者
崔南龍

ハンセン病患者の強制収容、隔離、撲滅政策が始まって百年。「国家によって、生きる価値がないとされた者がなぜ無理して生きているかと問われれば、そこに抵抗があるからだ」。「いま、百年の間、いえなかったことをいいのこしておかねばならない」
太平洋戦争直前に瀬戸内海の国立療養所邑久(おく)光明園に収容され、いまもそこで暮らす在日韓国人二世の魂と生活の記録。
収容時に歩かされたのは消毒液まみれの黒い道だったが、譲られた「一枚の切符」で家に帰りながらまた療養所に戻ったのは自ら選んだ道だった。この切符をともしびとして暗闇を生きぬき、書きつづけてきた癩(らい)の語り部が、視力を失ったいまもなお、瀬戸内海の孤島から現代社会へと投げかける人生の光芒。
国民年金からの排除、隔離法廷、指紋押なつ、胎児標本問題などで独自の立場をつらぬき、病と民族による二重の差別と闘ってきた記録であると同時に、療養所の歴史的な実態と生活を詳細に語りのこす貴重な証言でもある。


目次


はじめに  畑野研太郎
謝辞  崔南龍
著者・崔南龍が歩んできた道  孫和代

序章 療養所への黒い道
  黴(かび)
  一九四一年七月十四日

第一部
療養所の暮らし
  お召列車
  光明学園
  面会所
  礼拝堂
  監房
  患者作業
  園内語
  園内通貨
孤島の闘い
  識字学級 アジュモニたちの日本語
  出張裁判 「らい」を裁く
  出頭不能 年金問題から指紋押なつまで
  胎児標本 いのちの証を見極める
木尾湾物語り
  木尾湾というところ
  しんちゃんのラッパ
  ベッドの泣き笑い
  九反田 金潤任オンニの思い出
  島のカラスと町のカラス
  空飛ぶ自転車
  けものみち
  野辺の送りの今昔
  二つ岩
  木尾湾の生きものたち

第二部
幼い日の祖国
  チギと黄色いマックワ
  布にくるまれた妹
  幼い「三重連」
ひなたひかげ 初期作品集
  助けてやった犬/ひなたひかげ/私の顔/寝台の凹(くぼ)み/眼/トロツコ/ガラス戸から/五十銭銀貨/花火/金魚/影/私の財産
春想秋忘 随想集
  身近にいるもの/病室/他人の不幸/注射/闇の世界と光の世界/双葉寮/錆びた心/素顔/見送り/南京豆

終章 一枚の切符
  大和高田から天安へ 恨(ハン)百年

解説  花崎皋平


著訳者略歴

崔南龍
チェ・ナㇺヨン(Namryong Choi)

1931年、神戸市生まれ。在日韓国人二世。通称名、南龍一(みなみ・りゅういち)。幼時に植民地下の朝鮮へ渡って父の実家で暮らすが一家は離散、父に続いて日本に戻る。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

書評情報

鎌田彗(ルポライター)
<信濃毎日新聞 2017年6月18日(日)>
鎌田彗<山陽新聞 2017年6月25日>
雑賀恵子(評論家)
<東京新聞 2017年7月9日(日)>

この本の関連書


「一枚の切符」の画像:

一枚の切符

「一枚の切符」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/312頁
定価 2,860円(本体2,600円)
ISBN 978-4-622-08601-7 C0036
2017年5月10日発行

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