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大気を変える錬金術【新装版】

ハーバー、ボッシュと化学の世紀

THE ALCHEMY OF AIR



空気から固定窒素をつくるハーバー=ボッシュ法の発明は、化学の力で文字どおり世界を一変する半世紀をひらいた。固定窒素は“賢者の石”であり、「それを探そうとする者はそれぞれ強迫的な思いにとりつかれ、それぞれの悲劇を味わった」
発明の前史から説き起こしているが、本書の中心はハーバーとボッシュ、とりわけカール・ボッシュの物語だ。アンモニア合成法の発明によって物質変換の威力の虜となり、一個人には背負いきれないほどの社会的責任を担ってしまった一人の天才的なエンジニアとして、ボッシュの人物像が浮かび上がる。彼が直接間接にかかわった無数の命の重さを考えれば、ときに表層的とも思える描像ではあるが、にもかかわらず読む者を何度も戦慄させるに足る事実がここには書かれている。将来、エネルギーと環境の問題を克服する夢の科学技術が現れるなら、それこそは、人類が絶対にあけてはならないパンドラの箱かもしれない。
大量の固定窒素が生物圏全体を変質させ、戦争の形態を変え、ヨーロッパの政治経済を大きく変容させた。発展の裏で人々にもたらされた悲惨、環境への負荷の大きさもまた、計りしれない。最終章では窒素サイクルを変えた人類へのしっぺ返しともいうべき、グローバルな環境影響が明かされる。今日の繁栄の代償の大きさに言葉を失う。


目次


はじめに 空気の産物

第I部 地球の終焉
1 危機の予測
2 硝石の価値
3 グアノの島
4 硝石戦争
5 チリ硝石の時代

第II部 賢者の石
6 ユダヤ人、フリッツ・ハーバー
7 BASFの賭け
8 ターニングポイント
9 促進剤(プロモーター)
10 ボッシュの解決法
11 アンモニアの奔流
12 戦争のための固定窒素

第III部 SYN
13 ハーバーの毒ガス戦
14 敗戦の屈辱
15 献身、犠牲、迷走
16 不確実性の門
17 合成ガソリン
18 ファルベンとロイナ工場の夢
19 大恐慌のなかで
20 ハーバー、ボッシュとヒトラー
21 悪魔との契約
22 窒素サイクルの改変

エピローグ

解説(白川英樹)
参考文献
出典について
索引


著訳者略歴

トーマス・ヘイガー
Thomas Hager

アメリカ、オレゴン州ユージーン在住の医化学系ジャーナリスト。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
渡会圭子
わたらい・けいこ

翻訳者。上智大学文学部卒業。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
白川英樹
しらかわ・ひでき

1936年生まれ。筑波大学名誉教授。導電性高分子(ポリアセチレン)を発見し、先駆的な開発を主導した。1983年高分子学会賞受賞。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「大気を変える錬金術【新装版】」の画像:

大気を変える錬金術【新装版】

「大気を変える錬金術【新装版】」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/344頁
定価 4,752円(本体4,400円)
ISBN 978-4-622-08658-1 C1043
2017年9月7日発行

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