みすず書房

マクヒュー/スラヴニー 現代精神医学

THE PERSPECTIVES OF PSYCHIATRY

判型 A5判
頁数 440頁
定価 7,920円 (本体:7,200円)
ISBN 978-4-622-08689-5
Cコード C1011
発行日 2019年6月17日
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マクヒュー/スラヴニー 現代精神医学

心脳問題、さまざまな学派による派閥主義、DSMという診断名のカタログ——。精神医学はなぜ扱う者によって多様になり、かくも理解が困難な学問になってしまったのだろうか?
現在の精神科医が立脚するすべての立場は、あくまで精神医学の部分的な理解にすぎず、立場によって患者そのものが異なって見えていると著者たちは言う。本書はそうした多種多様な表れ方、そして捉えられ方をする精神障害を4つの観点を用いて分類し、治療の体系化を試みるものである。
患者は何を「もっている」か(疾患)、患者は生来何で「ある」か(特質)、患者は何を「行っている」か(行動)、そして患者は何に「直面している」か(生活史)。この4つの観点によって解決すべき問題が明らかになり、はじめて患者の人生をよりよく変化させうる方法を選択することができるのである。
データサイエンスが医学を席巻する時代において、学派を超えて共有すべき精神医学の役割とは何か。長らくジョンズ・ホプキンス大学精神医学部門を牽引してきた著者たちによる、臨床と研究のためのベーシックテキスト。

目次

日本語版への序文
読者への手引き
まえがき

第I部 精神医学の診断と説明
第1章 心脳問題と精神医学の構造
第2章 派閥争い——精神医学における混乱のもう一つの源
第3章 精神医学における分類とDSM-IV

第II部 疾患の観点の概念
第4章 疾患の観点——精神医学におけるその前提、歴史、利点と限界
第5章 疾患概念、これまでにわかっている精神障害の神経病理による例示
第6章 疾患の概念はあるが、神経病理が解明されていない精神障害への適用
第7章 双極性障害——情動領域における疾患
第8章 統合失調症

第III部 特質の観点の概念
第9章 特質の観点——階級的、定量的、気質的な区別
第10章 低知能状態——測定しうる範囲内での分類
第11章 気質、感情の特質、そしてパーソナリティ障害
第12章 感情、ライフイベント、気質の特質、そして治療

第IV部 行動の観点の概念
第13章 行動の観点
第14章 動機づけられた行動の特徴
第15章 行動障害の原因
第16章 行動障害の治療原則
第17章 神経性過食症——段階的変化を通して治療される行動
第18章 ヒステリー
第19章 自殺

第V部 生活史の観点の概念
第20章 生活史の観点
第21章 臨床における生活史の観点の活用——威力、過程そして落とし穴

第VI部 四つの観点の臨床的適用
第22章 四つの観点の臨床的適用
第23章 総括

補遺 信頼性と妥当性

監訳者あとがき
原注
索引
訳者一覧

書評情報

樋口輝彦
(日本うつ病センター名誉理事長/国立精神・神経医療センター名誉理事長)
日本生物学的精神医学会誌 第30巻4号(2019年)
村井俊哉
(京都大学)
こころの科学 2020年1月号(第209号)

関連リンク

中外医学社コラボ企画note


『マクヒュー/スラヴニー 現代精神医学』の考え方を臨床例を通じて詳説した書籍、『システマティック臨床精神医学』が中外医学社より刊行されました。
同書の刊行を記念して、「中外医学社×みすず書房 特別コラボnote」が公開されています。
相補的な役割を担う二冊の書籍、そのどちらの理解も深まるジョンズ・ホプキンス大学教授・澤明氏による「読者への手引き」を、この機会にぜひご一読ください。
中外医学社Online | note https://note.com/chugaiigaku/

「日本語版への序文」全文をお読みになれます

(WEBみすずサイト「新刊紹介」)