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憲法論【新装版】

VERFASSUNGSLEHRE


本書は近代憲法の思想史的かつ社会学的分析を試み、いわゆる「市民的・法治国的」憲法の性格を鋭く剔抉すると同時に、著者独自の憲法論を提示しようとするものである。その底には、与えられた規範の文理解釈にとどまる法実証主義と、国家的実存を無視する国際法優位説とに対する激しい批判が息づいている。
「憲法論の課題は、多くの伝来的な文言や概念がいかにそれ以前の事情に従属しており、今日ではもはや新しい酒を盛るための古い皮?ではなく、時代おくれの、虚偽のレッテルにすぎないかを立証することである」と著者は序文で述べている。彼は、憲法を構成するさまぎまの概念を歴史の中でとらえなおす。まさにそのことによって近代憲法の基本構造と歴史的状況をまざまざとわれわれの前に示すのである。
議会制民主主義を否定し、人民の直接的な信任に支えられた代表者を求める著者の理論は、結局は、ナチ到来の道をはき清めるものとなった。だが、その鋭利な問題意識による分析は、初版刊行後90年の試練にたえ、今日なお寄与するところ大であろう。本書との対決を通して鍛えられた者こそが、自らの立場に強さを加えることとなるであろう。

[初版1974年5月30日発行]


目次


緒言
序文

第一編 憲法の概念
第1章 絶対的憲法概念(統一的全体としての憲法)
I 具体的統一および秩序の総体としての、もしくは国家形体としての憲法(「形体の形体」)/もしくは政治的統一の形成の原理としての憲法/II 規範的意味での憲法(「規範の規範」)
第2章 総体的憲法概念(多数の個別法律としての憲法)
I 憲法の憲法法律への解体/II 成文憲法/III 憲法法律の形式的特色である改正の困難性
第3章 積極的憲法概念(政治統一体の態様と形式に関する全体決定としての憲法)
I 憲法制定権力の行為としての憲法/II 政治的決定としての憲法/ワイマール憲法の決定/憲法と憲法法律の区別の実際的意義(憲法改正、憲法の不可侵性、基本権、憲法争議、憲法に対する宣誓、謀叛)/III ワイマール憲法の妥協的性格、真の妥協と表面的妥協(学校および教会に関する妥協)
第4章 憲法の理想概念(すぐれた意味で、特定の内容のためにそう呼ばれる「憲法」)
I 理想概念、特に自由という概念の多義性/II 市民的法治国憲法の理想概念/III 近代憲法の二つの構成部分
第5章 「根本法律」、根本規範または lex fundamentalis(根本法)という言葉の意義(総括的概観)
I 根本法律という語の九つの意味/II いろいろな意味の結合/III 本書において憲法という場合、積極的意味での憲法を意味する
第6章 憲法の成立
I 憲法は一方的決定か相互の合意によって成立する/II 歴史的概観(1 中世の封建国家と等族国家、特にマグナ・カルタ、2 1806年までのドイツ帝国、3 絶対君主国家、4 1789年の革命、5 1815年-1830年の王制復古、6 七月革命、7 ドイツにおける立憲君主制、8 1867年の北ドイツ連邦および1871年のドイツ帝国、9 1919年のワイマール憲法)
第7章 契約としての憲法
I 国家契約または社会契約と憲法契約との区別/II 連邦契約としての真の憲法契約、一つの政治統一体内の不真正憲法契約/III 状態契約としての真の憲法契約(契約は守られるべし、という命題の批判)/IV 憲法と国際条約
第8章 憲法制定権力
I 政治的意思としての憲法制定権力/II 憲法制定権力の主体(神、人民もしくは国民、国王、組織されたグループ)/III 憲法制定権力の行使、特に民主的慣行(国民会議、憲法起草会議、国民投票)
第9章 憲法の正統性
I 正統性の種類/II 憲法が正統であるというのは、憲法が以前に有効だった憲法法律規定に従って成立したということを意味するものではない/III 王朝的正統性と民主制的正統性
第10章 憲法制定権力、特に人民の憲法制定権力に関する理論の帰結
1 憲法制定権力の不断の存在(永続性 Permanenz)/II 憲法制定権力が同一である場合の憲法廃止および憲法破棄に際しての国家の継続性/III 憲法制定権力の主体の変更(憲法廃棄)の場合における継続性の問題、特に1918-19年のドイツ国の継続性/IV 憲法制定権力と憲法によって与えられている各権能および権限との区別
第11章 憲法の概念に由来する諸概念(憲法改正、憲法破棄、憲法停止、憲法争議、謀叛)
I 概観/II 憲法法律による憲法法律の改正(憲法修正、増補)/憲法改正権能の限界/憲法破棄とかくされた主権行為/憲法停止/III 憲法争議/IV 謀叛における攻撃および保護の対象としての憲法

第二編 近代憲法の法治国的構成部分
第12章 民主的法治国の諸原理
I 近代憲法の法治国的構成部分と政治的構成部分との区別/市民的法治国の二原理すなわち基本権(配分原理)と権力区分(組織的原理)/II 法治国概念と個々の特徴(法律適合性、行政裁判、すべての国家行為の予測可能性、裁判官の独立、司法形式化、政治的裁判の問題)
第13章 法治国の法律概念
I 市民的法治国における法と法律/II いわゆる形式的法律概念/III 政治的法律概念/IV 法規範の普遍性の意義
第14章 基本権
I 歴史的概観/II 基本権の荘重な宣言の歴史的および法的意義/III 基本権の実質的分類/IV 制度的保障(institutionelle Garantie)は、基本権と区別されねばならない/V 基本的義務は市民的法治国においては憲法法律上の義務である/VI 制限と侵害に対する保護の観点からする基本権の分類
第15章 権力の区分(いわゆる分立 Teilung)
I 歴史的成立/II 権力の分離と均衡/厳格な分離の図式/均衡の図式/III まとめ
第16章 市民的法治国と政治形体
I 市民的法治国の憲法は常に混合的憲法である/国家形体は区分され分立せる権力(立法権、執行権)の形体となる/II 政治形体の二つの原理(同一性と代表)/III 代表制の概念/IV 市民的法治国の諸原理と政治的形体諸原理との結合と混合としての近代憲法

第三編 近代憲法の政治的構成部分
第17章 (1)民主制の理論  基本概念
I 若干の概念規定の概観/II 平等の概念(人類の普遍的平等、実質的平等)/III 民主制の定義
第18章 人民と民主制憲法
I 憲法以前の超憲法的人民/II 憲法内の人民(選挙および投票)/III 憲法法律規定と並存する人民(世論)/IV 近代憲法論上の「人民」という言葉の意義に関する概観
第19章 民主制の政治的原理から生ずる帰結
I 一般的傾向/II 民主制における公民/III 官庁(官庁および官吏を選定する民主的方法)
第20章 民主制の政治的原理の国家生活の個々の領域への適用
I 民主制と立法(特に人民投票と人民請求)/II 民主制と政府(特に政府と人民の間の直接的関係を回復すること)/III 民主制と国際法関係/IV 民主制と行政/V 民主制と司法
第21章 民主制の限界
I 同一性の原理の限界/II 人民の性質から生ずる限界/III 今日の民主制の実際における限界/IV 「多数が決定する」という命題の批判
第22章 (2)君主制の理論
I 君主制の基礎づけ(神権的、家父長的、家産的、官僚的、皇帝的君主制)/II もろもろの君主制正当化の憲法論的意義/III 近代憲法における君主の地位/IV 共和制憲法の大統領
第23章 (3)近代市民的法治国憲法における貴族制的要素
I 権力区分の手段としての貴族制原理/II 二院制の理念と正当化/III 歴史上の二院制のタイプ(上院(オーベルハウス)、貴族院(ヘレンハウス)、セネット、連邦院(シュターテンハウス))IV 上院の権限と権能
第24章 (4)議会制
 I 「議会主義」なる言葉の多義性、特に四つの型(大統領制、議会制、首相制、内閣制)/II 議会制の理念的基礎(市民層の歴史的状況、教養と所有、公開の討論)/III 議会制の根本思想から生ずる諸帰結(代表制、公開性、討論)
第25章 議会制の発展に関する歴史的概観
I 英国における歴史的発展の最も重要な諸事項/II フランスおよびベルギーにおける発展/III ドイツにおける発展
第26章 議会制の諸形態に関する概観
I 決定的観点/議会と政府の一致/II 一致を実現するための手段/III 議会制的責任の「事態」(「内閣に関する事態」)
第27章 ワイマール憲法の議会制
I 四つの型の結合/II 概観/III ワイマール憲法の議会制の実際/1 議会の信任(憲法54条1段および2段)、2「宰相は政治の基本方針を決定する」(56条)
第28章 議会の解散
I 解散の種類(君主、大統領、大臣による解散、自己解散、人民請求に基づく解散)/II 大統領の解散権

第四編 連邦に関する憲法理論
第29章 連邦に関する憲法理論の基本的諸概念
I 国家間の関係および結合の種類についての概観(国際法団体、個々の関係、同盟、連邦)/II 連邦の概念規定から生ずる諸帰結(和平、保障、干渉、連邦強制)/III 連邦の法的および政治的矛盾ならびに同質性の要請によるその止揚
第30章 連邦に関する憲法理論の基本的諸概念からの帰結
I すべての連邦はそれ自身独自の交戦権を伴う政治的実存を持っている/II 連邦はすべて、それ自身国際法上および国法上の主体である/III すべての連邦は連邦領土を有する/IV 連邦代表、連邦諸制度および諸官庁、連邦権限/V 連邦に対する謀叛行為/VI 民主制と連邦制(特に憲法18条)

付録 ワイマール憲法

訳者あとがき
索引


著訳者略歴

カール・シュミット
Carl Schmitt

1888-1985。ドイツの政治学者・公法学者。シュトラスブルク、ボン、ケルンの諸大学を歴任して、ナチスの政権掌握間もない1933年10月ベルリン大学正教授となる。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
阿部照哉
あべ・てるや

1929年徳島県に生まれる。1953年京都大学法学部卒業。京都大学名誉教授。大阪学院大学名誉教授。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
村上義弘
むらかみ・よしひろ

1927年大阪市に生まれる。1954年京都大学法学部卒業。大阪府立大学名誉教授。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

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憲法論【新装版】

「憲法論【新装版】」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/494頁
定価 7,480円(本体6,800円)
ISBN 978-4-622-08748-9 C3032
2018年8月31日発行

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