みすず書房

きのこのなぐさめ 電子書籍あり

STIEN TILBAKE TIL LIVET

判型 四六判
頁数 328頁
定価 3,740円 (本体:3,400円)
ISBN 978-4-622-08809-7
Cコード C0098
発行日 2019年8月19日
電子書籍配信開始日 2019年9月2日
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きのこのなぐさめ

悲しみの淵にいた私を、そこから連れ出してくれたのは、きのこだった——。

マレーシア人の著者は、文化人類学を学ぶ交換留学生としてやって来たノルウェーでエイオルフと出会い、恋に落ちた。夫婦となった二人は深く愛し合い、日々のささやかなことも人生の一大事についても、何でも話し合う仲だった。
ある朝、いつものように自転車で職場に向かったエイオルフが突然倒れ、そのまま帰らぬ人となる。最愛のパートナーを失った著者は、喪失の痛みのさなか、ふと参加したきのこ講座で、足下に広がるもうひとつの世界、きのこ王国に出会う。きのこたちの生態は、不可思議な魅力に満ち満ちていた。
苔むす森でのきのこ狩りの効用と発見の喜び。きのこ愛好家間の奇妙な友情と不文律。専門家・鑑定士への「通過儀礼」。絶品きのこトガリアミガサタケ。悪名高いシャグマアミガサタケ。色・形・匂いの個性とその奥深さ。とっておきの、きのこレシピ。
悲しみの心象風景をさまよう内面世界への旅と、驚きと神秘に満ちたきのこワンダーランドをめぐる旅をつづけ、魂の回復のときを迎える、再生の物語。約120種類のきのこが登場。

目次

序文

きのこがひとつ、喜びひとつ。きのこがふたつ、喜びふたつ。
  きのこの世界へようこそ/アドレナリン放出

二番目によき死

秘密の場所
  ニューヨーク、セントラルパークでのきのこ狩り/どこできのこを見つけた?/夢

特別専門家集団
  きのこの友情/きのこ専門家の試験──きのこ愛好家の通過儀礼/無慈悲な悲しみのプロセス/小文字の’e’ではじまるenke(未亡人)

きのこへの疑念
  どのきのこなら食べられる?/狭間の国(limbo)/芝に怒る/エープリル・フール

フィフティ・シェイズ・オブ・ポイズン
  白黒つけられない/フロー/人生の轍

トガリアミガサタケ──きのこ王国のダイヤモンド
  ニューヨークでトガリアミガサタケ狩り/ファッショナブルなアミガサタケ/シャグマアミガサタケ──きのこ王国のはみだし者

五感への働きかけ
  全ての感覚をリンクさせる/あんずの香りと他に教わった? アロマ/ねずみ捕りの技術

アロマ・セミナー
  内輪だけにしか通じない専門用語/官能評価パネル/古くからの習慣と新しい習慣/感覚を総動員する

名もなき者たち
  触れてはいけないきのこ/ホイランド教授が様々な角度からリバティキャップを説明する/公平な情報か、それとも群集心理の扇動か?/マッシュルーム・トリップ

前菜からデザートまで
  喪失の数式/スープ/きのこジャーキー/ゴマ油と?油でローストしたきのこ/パテ/きのこのマリネ/きのこのロースト/きのこソース/キャンディーキャップ/砂糖で煮詰めたアンズタケのぶつ切りとアンズタケとアプリコットのアイス/’Dogsup’/お風呂場の体重計/離婚vs死

素晴らしきラテン語
  猿でも分かるきのこの学名/色と形/匂い、アロマ、そして大きさ/ずっと与え続けられる贈り物

天からのキス
  天からのキス

きのこの作法
訳者あとがき
参考文献
きのこ名索引

関連リンク

[トピックス]きのこが導く、魂の再生の物語

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